「プログラミングで副業したら源泉徴収が必要?」
上記のような疑問に、会計事務所歴5年のホスメモがお答えします。
「ライターだと源泉徴収が必要になる」と聞いたことがあるかもしれませんが、プログラミングで売上が発生しても源泉徴収は必要ありませんよ。
クライアント側が間違えて「源泉徴収は必要なんじゃないですか?」と聞いてくることがあるので、しっかり理解しておきましょう。
プログラミングで副業をしたら源泉徴収が必要なの?
プログラミング関連で売上が発生しても、源泉徴収は必要ありません。
なぜかというと、源泉徴収が必要な報酬にプログラミングは含まれていないからです。
かなりわかりづらいと思いますが、国税庁のページを引用しますね。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
- イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。- ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- ホ 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
馬主である法人に支払う競馬の賞金
国税庁:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
上記のとおり、プログラミングにかかる報酬は規定にないので源泉徴収の対象ではないですね。
なのでもしクライアント側から、「請求書に源泉徴収がないのですが、入れてもらえますか?」と言われたら、「プログラミング関連の売上には源泉徴収は必要ないですよ」と答えておきましょう。
なぜ報酬にも源泉徴収が必要なのか
源泉徴収制度は国の税収を安定させるために作られてものです。
確定申告時だけから税金を集めるよりも、毎月集めたほうが確実ですよね。
だから私たちのお給料から毎月所得税を天引きしています。で、事業者が毎月もしくは半年に1度、集めた所得税を代理で納税しているわけです。
この考え方は給与だけではなく、報酬にも派生しました。
報酬に関してはとりっぱぐれそうなものに源泉徴収の義務があると考えられます。それか報酬が大きいものに対して。
報酬が多くて納税意識が低い人が多い売上には、源泉徴収をさせて税収の安定を図ったわけですね。
ちなみにあなたの売上が源泉徴収が必要な報酬に該当したとしても、人を雇っていいなかったり、ご自身が法人であれば源泉徴収は不要とされます。
詳しくは「個人事業主でも源泉徴収が必要はない条件とは?」をご確認ください。
プログラミングで稼ぐ人は税務調査を受けやすい話し
プログラミングで稼ぐ人の多くは税金に詳しくありません。
だからついつい確定申告が遅れたり、納税を忘れていて税務調査を受けてしまいます。
その証拠に国税庁が発表したの申告漏れ等の統計で、システムエンジニアは上位でした。
順位 業種 1件あたりの 申告漏れ所得金額(万円)
1件当たりの 追徴税&加算税(万円)
直近の年分に係る 申告漏れ割合
1 風俗業 2,685 727 91.50% 2 キャバクラ 2,278 497 92.90% 3 経営コンサルタント 2,045 483 28.40% 4 システムエンジニア 1,339 219 60.60% 5 特定貨物自動車運送 1,257 185 64.80% 6 不 動 産 代 理 仲 介 1,189 392 31.30% 7 貨 物 軽 車 両 運 送 1,186 136 67.70% 8 ダ ン プ 運 送 1,147 165 54.30% 9 畜産農業(肉用牛) 1,133 248 31.30% 10 機 械 部 品 受 託 加工 1,119 185 42.70% 国税庁:平成30年所得税調査状況
システムエンジニアの申告漏れの割合は、60%になっているので無申告が多いですね。
税務調査は無申告の方を中心に行われるため、無申告のままではまずいですよ。
おそらく経営者の意識としては、経理をするより、ガンガン営業をかけて売上を伸ばしたほうがいいと考えているのではないでしょうか。
経理や税金の計算はいわゆるバックオフィスの仕事なのでめんどうだし、利益確保には貢献できますが、売上は伸ばせられないですからね。
もちろんわたしも売上を伸ばすことは大事だと思います。
しかしながら税金を払うことも同じくらい大事です。
税金の計算が遅れることのデメリット
税金の計算が遅れることで生じるデメリットを考えてみました。
- 税務調査のリスク
- ペナルティがかかる
- 融資を受けられない
- 助成金を受けられない
- 資産の差押など経営リスク
税金の計算が遅れれば、無申告のままになってしまうので税務調査リスクが高まりますし、ペナルティも払うことになります。
それに助成金や融資では確定申告書の控えや納税証明書などを提出するので、ふだんから経理が機能していないと、いざという時に助成金や融資がもらえないです。
また納税が遅れたままにしてしまうと、資産の差押をされてしまうケースもあるんです。
以上を考えると、たとえめんどうでも税金はタイムリーに計算して、納税も済ませておくのが無難でしょう。
自分ですべてをまかなうのは難しいと思うので、1年間だけは税理士に依頼するのもアリだと思いますよ。
ホスメモでは確定申告に関する記事がたくさんあるので、そちらを参考にしていただいても大丈夫です。
まとめ:プログラミングには源泉徴収は不要です
プログラミング関連で売上が発生しても源泉徴収は不要でした。
源泉徴収が必要な報酬は限られたものだけですし、そもそも人を雇っていなければ源泉徴収が必要な報酬でも源泉徴収をしなくてOKになります。
クライアント側から「源泉徴収が必要じゃないですか?」と言われたりするので、エンジニアの方は覚えておいたほうがいいですよ。
またシステムエンジニアの方はなぜか無申告が多く、税務調査に入られやすいです。
売上を伸ばすことも大事ですが、ある程度の規模になればリスク管理も大事。
バックオフィス業務がめんどうなのであれば、税理士などの専門家に依頼しましょう。