介護サービスの消費税は課税or非課税?【事業者向け】

「介護サービスの消費税は課税or非課税?」

 

上記のような疑問に、会計事務所歴5年のホスメモがお答えします。

 

介護サービスでは保険適用外でも消費税が非課税になるケースがありますよ。

介護保険法と消費税法で対象範囲がびみょうに異なるので注意してください。

 

また非課税売上が多くなる業種なので、消費税の節税の難易度があがります。消費税法に詳しい税理士さんを担当にしたほうがいいですよ。

 

介護サービスの消費税は課税or非課税?

介護サービスで介護保険が適用されるものはほとんど消費税が非課税です

 

なぜかというと、消費税の用途が年金、介護、医療、少子化対策のためだからです。

全国から集めた消費税を介護のために使うのに、介護からも消費税を取ったらプラマイゼロになってしまいますよね?

 

いっぽうで介護サービスで課税になるものあります。まとめてみました。

 

  1. 自己選定による費用
  2. 介護サービスの委託
  3. 特定福祉用具の販売および貸付

 

1、自己選定による費用

自己選定による費用というと難しそうですが、ようするにオプション費用です。

 

たとえばホテルの部屋をスイートルームにするように、介護ベッドをアップグレードしたり、特別食、特別な浴槽の提供を受けたりするときは消費税は非課税になりません。

 

ほかにも実施地域以外なのに、利用者のニーズにより訪問を実施したときの交通費も自己選定による費用とされます。

 

(利用料等の受領)

第二十条 指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当する指定訪問介護を提供した際には、その利用者から利用料の一部として、当該指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額から当該指定訪問介護事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする。

2 指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額と、指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。

3 指定訪問介護事業者は、前二項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合は、それに要した交通費の額の支払を利用者から受けることができる。

 

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準:基準省令20③

 

上記の交通費も課税で処理します。

 

このように介護保険にかかる基準と照らし合わせて、オプション的な費用には消費税が課税されますよ。

 

判断が難しいと思いますので、介護事業に詳しい税理士さんをつけたほうが懸命ですね。

 

2、介護サービスの委託

介護サービスを外部に委託するケースもあり、このときの外注費は消費税が課税です。

 

委託する業務としては、

 

  1. 入居者向けの食事の調理
  2. 施設内の清掃業務

 

などがおもにあります。

 

上記のサービスは入居者ではなく、居住サービス事業者等に対して行われるサービスなので、非課税の規定には該当しないんです。

 

専門的にいうと、介護保険に係る資産の譲渡等には該当しません。

 

3、特定福祉用具の販売および貸付

これもまた複雑なのですが、福祉用具の販売や貸付をしたときは消費税が課税です。

 

いっぽうで、福祉用具のなかでも「身体障害者用」の物品に関しては、別の規定で非課税とされているので、販売や貸付をしたときは非課税になります。

 

介護保険法の規定に基づく福祉用具の貸付けは、消費税法別表第一第7号イに規定する資産の譲渡等に該当しませんが、当該福祉用具の貸付けが同別表第一第10号に規定する身体障害者用物品の貸付けに該当するときには、消費税は非課税となります(基通6-7-3)。

国税庁:福祉用具貸与に係る取扱い

 

ややこしいですよね。

 

また居住要介護をされる方が、入浴または排泄用のために福祉用具を購入するときに、介護保険が適用できるケースがあります。

care

参照:https://www.saint-care.com/service/tool/buyable/

 

介護保険で購入できたとしても、腰掛け便座などは「身体障害者用物品」とはみなされないので消費税は課税です。

 

介護保険が適用できたからといって、消費税がすべて非課税になるわけではないので注意してください。

 

介護事業者は消費税の非課税売上を意識したほうがいい話

介護事業者は介護サービスを提供するので、消費税が非課税の売上が多く計上されます。

 

この非課税売上が非常にやっかいなんですよね、課税売上割合に影響を与えるので。

消費税の納税額は、消費税の売上ー消費税の経費から求めます。

 

とすると、介護事業者は消費税の売上のほとんどが非課税なので、消費税の経費が多くなり、還付を受けれそうな計算になります。

 

しかしながら実際は、非課税売上が多い事業者は消費税の経費もその割合に応じて減らしましょう、となりました。

 

これが課税売上割合です。

非課税売上が多いと課税売上割合が下がり、けっきょく消費税の経費も減るので、納税額が増えてしまいます。

 

課税売上割合の仕組みについては、下記の記事で詳しく解説しておりますので参考にしてください。

 

ホスメモ:非課税売上の例はなに?消費税が不利になるの?【課税売上割合】

ホスメモ:売上が5億円を超えると消費税が不利になるの?【個別/比例】

 

とても複雑な仕組みなので、介護事業者さんは消費税法に詳しい税理士さんをつけたほうが懸命ですよ。税理士のレベルによって、毎年、数十万の納税額がわかることはざらにありますので。

 

まとめ:介護サービスの消費税は課税のケースもありますのでご注意を

介護サービスは健康保険が適用されるので、ほとんどの消費税が非課税とされています。

 

ただし、課税にケースもありまして、その例がこちらでした。

 

  1. 自己選定による費用
  2. 介護サービスの委託
  3. 特定福祉用具の販売および貸付

 

介護事業者にとっては、消費税の課税or非課税の判定は非常に重要です。

 

なぜなら非課税売上は課税売上割合の影響を与えるので、経費の消費税が減ってしまうからでしたね。

 

高度な専門知識が必要になるので、消費税法に詳しい税理士さんに任せるのが損しないと思います。

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