売上を計上するタイミングはいつ?基準はある?

「売上を計上するタイミングはいつ?」

「なにか基準はあるの?」

 

上記のような疑問に会計事務所歴5年のホスメモがお答えします。

 

売上をいつ計上すべきかどうかは、その取引の実態にもとづいて判断するのでケースバイケースです。

 

じつはかなり奥が深い論点なので、もっともリスクが低い方法で売上を計上するのがベスト。

 

記事を読んでいくうちに、おそらくげんなりしてくると思うので、下記に想定している読者に当てはまらない方はスキップしてもらって大丈夫です。

 

✔想定している読者

・決算月を処理している経理さん、個人事業主さん

・親会社に毎月試算表レポートを提出するような規模の経理さん

・融資や助成金の申請を検討していて、期中も発生主義で売上を認識されたい方

 

売上を計上するタイミングはいつ?

税法上の売上計上のタイミングの原則をまとめました。

 

  1. 売買:資産の引き渡しのあった日
  2. 資産の貸付:使用料等の支払いを受けるべき日
  3. サービス提供:サービスが完了した日または目的物が完成して引き渡した日

 

上記の3つを原則としつつ、取引の実態によってさらに細かく判断していきます…。

 

1、売買:資産の引き渡しのあった日

商品の売買では、資産の引き渡しがあった日に売上を計上するとされています。

 

たとえばコンビニで商品を売ったら、そのときに商品を渡しますのでここで売上計上。

 

いっぽうで車を販売したときはどうなるのか。

車の売買では、車を納車したときに売上を認識すべきです。

 

なので注文を受けた日には売上を認識しません。車を引き渡してないですからね。

 

資産の種類、性質、販売契約等によって、資産の引き渡し日がいつになるのか変わるのでどうしてもケースバイケースになります。

 

出荷基準、検収基準、検針日基準などもあるので、もっとも合理的だとおもう日で売上を計上しましょう。

 

判断が難しいときは税理士に相談するのが確実ですね。

 

2、資産の貸付:使用料等の支払いを受けるべき日

資産の貸付では、使用料等の支払いを受けるべき日に売上を計上します。

 

たとえば9月分の家賃を8月に受け取ったときはどうなるとおもいますか?

 

もちろん、8月に受け取った金額は前受金で処理して、9月に前受金を取り崩し売上を計上します。

 

つまり、いつ売上を受け取ったのかではなく、いつ売上を計上すべきかで考えます。

 

3、サービス提供:サービスが完了した日または目的物が完成して引き渡した日

サービスの提供でいつ売上を認識するのか、迷うケースがよくあります。

 

代表的なのが建設工事で引き渡し日で判定するのですが、引き渡し日の判定をどのようにすべきかで考え方が複数あります。

 

  1. 作業決了基準
  2. 受入場所搬入基準
  3. 検収完了基準
  4. 管理権移転基準

 

もう、いやになりそうですね…。

どれを採用するかによって、売上時期が微妙にずれるので、過去とおなじ基準で判定しましょう。

 

ほかにも技術コンサルティングのサービスで、全体の役務の提供は完了していないが、部分的に完了したと区切りを付けて、報酬をもらうことがあります。

 

この場合は、報酬をもらったときに売上を計上すべきです。

 

全体としての役務の提供は終わってないので、前受金と処理しそうなのですが、部分的なサービスの提供は完了したと考えるので売上にします。

 

決算月で発生主義にしている帳簿が多い件

ここまで売上を認識すべきタイミングを細かく説明しましたが、すべての取引で売上をきっちり認識しなくてもOKです。

 

実際、中小企業の帳簿では期中は現金主義で処理をして、決算月で発生主義にあわせています。

 

なぜこのようなことをするかというと、

 

  1. 仕訳数が少ない
  2. 簿記の知識がなくても仕訳を作りやすい
  3. 資産・負債の勘定科目が少ないので管理がラク

 

だからです。

 

なのでほとんどの会計事務所では期中は現金主義で、期末は発生主義で帳簿を管理しています。

 

悪い言い方をすれば手抜きの帳簿にされていますね。

経営者さんは自分で帳簿を読み解く知識は持っていたほうがいいと思います。

 

どのような帳簿になっているかは「【初心者向け】もっとも簡単な帳簿の付け方【現金主義】」で実例を用いて解説しているので確認してみてください。

 

いま税理士さんに依頼している経営者さんにもおすすめです。

 

ホスメモがおすすめする帳簿の管理方法

わたしがおすすめする帳簿の管理方法は、

 

  1. 売上と売上原価(仕入)だけ、発生主義で管理して
  2. ほかの経費はすべて現金主義で管理

 

する方法です。

 

売上と売上原価さえ、発生主義にしていれば毎月の収支の予測ができます。

 

というもの販管費はほぼ毎月一定の金額だから。

 

だから発生主義で管理するのは、売上と売上原価だけでOKデス。

 

実例を用いた解説は「ホスメモ流おすすめの帳簿の書き方【青色申告向け】」でどうぞ。

 

まとめ:売上計上のタイミングはケースバイケースです。事例ごとに判断しよう

税法上の売上計上のタイミングの原則はこちらでした。

 

  1. 売買:資産の引き渡しのあった日
  2. 資産の貸付:使用料等の支払いを受けるべき日
  3. サービス提供:サービスが完了した日または目的物が完成して引き渡した日

 

上記の3つを原則としつつ、取引の実態によってさらに細かく判断していくのでしたね。

 

よくある論点としては、いつ商品を引き渡したのか、サービスの提供はいつ完了したのかですかね。

 

あとは実務を経験しながら、もっとも合理的なタイミングで売上を計上すればOKです。

絶対的なものはないので、もっともらしい理由をつけて判断できれば大丈夫ですよ。

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