「現金主義と発生主義は混在してもいい?」
「現金主義と発生主義の違いは?」
上記のような疑問に、会計事務所歴5年のホスメモがお答えします。
帳簿のなかで現金主義と発生主義が混在していて大丈夫です。
むしろ混在させたほうが、効率的に帳簿を作れるのでおすすめ。
青色申告をされている方は発生主義で帳簿を作ることが、青色申告の要件の一つですので一緒に確認していきましょう。
現金主義と発生主義は混在していい?
現金主義と発生主義は混在してOKです。
というのも、決算報告書の残高が発生主義の数字になっていればいいから。
乱暴な言い方をすれば期中はどのような処理をしたってかまわないです。
ご存じなかったかもしれませんが、会計事務所で帳簿作成を依頼すると、ほぼ現金主義で仕訳を作られますよ。
そのほうが仕訳数が少ないし、貸借対照表を管理する手間も省けるからですね。
というわけで現金主義と発生主義の混在はOKでした。
おすすめの帳簿の付け方
「ホスメモ流おすすめの帳簿の書き方【青色申告向け】」でも紹介しましたが、売上と売上原価(仕入れ)だけを発生主義で管理するのがおすすめです。
具体的には、毎月売掛金と買掛金を計上して残高を管理するというわけです。
そうすれば、毎月の粗利がわかるので、あとは販管費を引くだけで利益が求められます。
販管費は毎月大きく変動はしないのですから、おおまかな目安がつきやすいですよね?
優秀な経理さんを雇えていればいいのですが、現実にはご自身で帳簿を付けている方がほとんど。フリーランスさんもおられますし。
であれば売上と仕入れだけは発生主義で管理して、毎月いくら利益が出たか確認できるようにしておけば、とりあげずOKではないでしょうか?
わたしの帳簿では、売上と売上原価(仕入れ)だけを発生主義で管理していて、ほかの販管費などは現金主義を採用しています。
現金主義と発生主義の違い
現金主義と発生主義の違いは、仕訳を計上するタイミングが違います。
まとめてみました。
- 現金主義:現金に動きがあったときに仕訳を計上
- 発生主義:取引が発生したときに仕訳を計上
現金主義は現金に動きがあったときに計上する
現金主義では、現金が増えたり減ったりしたときに仕訳を作ります。
たとえば売上が入金されたときに始めて仕訳を計上。
ぎゃくをいえば、売上が入金されなければずっと未計上のままです。
現金主義は記帳がラクなのですが、すべて現金主義で帳簿を作ってしまうと月次で財務分析ができないデメリットがあります。
なのでわたしは、売上と売上原価だけ発生主義で管理するの推奨しているんですよ。
発生主義:取引が発生したときに仕訳を計上
発生主義は取引が発生したときに仕訳を計上します。
たとえば8月に掛けで仕入れをして、9月に支払うとすれば、仕入れは8月に計上します。
そして9月で買掛金を取り崩す。
つまり、現金を払ったタイミングはどうでもよくて、いつ取引が発生したかに着目するんです。
引渡基準と債務確定主義も知っておこう
じつは税法上では発生主義を深堀してしまい、引渡基準と債務確定主義にぶち当たります。
まとめてみますね。
- 引渡基準:収益を認識するタイミング
- 債務確定主義:債務が確定しない限り損金にしない
引渡基準の例をあげますね。
車を売ったとして、いつ売上をあげるかというと、注文書の日付ではなくて、新車を納車したタイミングになります。これが引渡基準。
税法は納税者の公平を強く意識するので、確実に商品を届けるまでは売上を認識しません。
つづいて債務確定主義ですが、これの例は賞与の引当金。
賞与の引当金ってあくまで見積金額なので、これを損金(経費)とは認めませんよというわけです。
もちろん賞与を払ったあとなら損金になります。
例外で減価償却費は損金算入されます。
ちょっとややこしい話しも書いてみました。引渡基準はけっこう実務でよくある論点なので覚えておくといいかもです。
まとめ:現金主義と発生主義は混在してOKです。
現金主義と発生主義は混在してOKでした。
というのも、決算報告書の残高が発生主義の数字になっていればいいから。
なので期中は現金主義で帳簿を作り、決算仕訳で発生主義につじつま合わせをするテクニックがよく使われますよ。
「【初心者向け】もっとも簡単な帳簿の付け方【現金主義】」にまとめてありますので、時間がある方は読んでみてください。