無償譲渡をしたときの消費税は?役員も不課税?【廃業】

「無償譲渡としたときの消費税は?」

「役員へ無償譲渡も平気?」

「個人事業主は?」

 

上記のような疑問にお答えします。

 

無償譲渡をしたときは原則、不課税です。

というのも、無料なので対価がないからです。

 

しかしながら節税を防ぐ狙いで、法人から役員へ無償譲渡したときは課税に変わります。

 

ただし、これは「譲渡」だけに限定された規定で、「貸付」や「役務の提供」は無償でも消費税は課税されません。

無償譲渡をしたときの消費税は?

無償譲渡したときは原則、消費税はかかりません。

 

なぜなら取引の対価がないからです。

 

ただし、無償譲渡であっても消費税が課税されるケースがあるんですよ。

それが、

 

  1. 法人が役員へ無償譲渡したとき
  2. 個人事業主が事業用資産を家事用として使ったとき

 

ですね。

 

上記は事業譲渡、事業廃止などで論点になるので気をつけてください。

 

とくに不動産は影響する税額が大きいので覚えておいたほうがいいですね。後半で解説します。

 

1、法人が役員へ無償譲渡したとき

法人が役員へ無償譲渡しときは消費税が課税になります。

 

法人が課税資産をその役員に対して贈与した場合

 課税資産を役員に贈与した時におけるその資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。

ただし、棚卸資産を贈与した場合において、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。

国税庁:法人の役員に対する贈与・低額譲渡の取扱い

 

 

たとえばプログラミングスクールの社長が社用車でアルファードを持っていたとしましょう。

 

で、減価償却が終わったタイミングで自家用車に転用したいと考えます。

新車だと6年、中古車だと3年ほどで減価償却が終わるので、節税効果はここまで十分です。

 

このときに、無償で役員にへアルファードを譲渡してしまうと、時価で取引があったものとみなされるんですよ。

 

「じゃあ無償ではなくて10万円で譲渡」と考えてそうですが、これもアウト。

時価よりずいぶん安い価額で譲渡すると「低額譲渡」と判定され、けっきょく時価で取引があったものとされます。

 

このように法人から役員へ資産を無償or著しく安く譲渡すると、時価とみなされるので気をつけましょう。

 

ちなみに売買だけに限定した規定なので、法人が役員に対して無償or安く貸付やサービスの提供をしたときは不課税になります。

 

詳しくは後日解説したいと思います。

 

2、個人事業主が事業用資産を家事用として使ったとき

個人事業主が事業用資産を家事消費したときも、消費税がかかりますよ。

 

個人事業者の自家消費とは、個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業用に使用していたものを家事のために消費又は使用することをいいます。

個人事業者が自家消費を行った場合は、その資産を消費又は使用した時のその資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます

ただし、棚卸資産を自家消費した場合は、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。

国税庁:個人事業者の自家消費の取扱い

 

たとえばすし屋さんが、家族にすしを握ったとしましょう。

これは家事消費になるので消費税の課税対象です。

 

寿司ネタは仕入れ(棚卸資産)ですから、通常の販売価額の50%以上を売上として認識します。

 

たとえば寿司10貫3,000円が通常価額のすし屋さんなら、1,500円を家事消費の売上にできます。仕訳にしましょう。

 

日付 借方 借方金額 税区分 / 貸方 貸方金額 税区分 摘要
10/30 事業主貸 1,500 / 売上 1,500 課税売上 家事消費

 

こんな感じで課税売上で計上すればOKです。

相手科目は事業主貸ですね。

 

以上、個人事業主も無償譲渡は消費税の対象でした。

 

つづいては、無償譲渡の消費税がもっとも論点にあがりやすい廃業時の処理を考えますね。

 

廃業をするときは無償譲渡の消費税に注意

個人事業主でも法人でも廃業をするときは、無償譲渡の消費税に注意しましょう。

 

先日ググっていたら過去のニュースが出てきまして、廃業時の無償譲渡で課税売上の計上漏れが多いとのことでした。

 

 

廃業するときであっても、無償譲渡には消費税が課税されましたよね?

 

この対策としては、

 

  1. 免税事業者になってから廃業をする
  2. 簡易課税で節税になるか検討する

 

が有効ですよ。

 

免税事業者になってから廃業をすれば、消費税の納税義務は生じないので無償譲渡の消費税を気にしなくてよくなります。

 

あからさまに免税事業者にさせると、本来の廃業の時期を偽った節税とみなされるので注意も必要ですけれど。

 

また廃業の片付けで、資産の売却が多くなるいっぽうで経費がほとんど発生しないときは、簡易課税を選択するのもアリですね。

 

簡易課税にすれば、売上から経費の割合を算出するので、実際の経費がほとんどないときに有利です。

 

消費税はほんとうに選択肢が多くて、事業者に不利な税金です。

難しいときは消費税法に詳しい税理士に相談したほうがいいと思います。

 

今回は以上です。

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