「法人保険ってどんな仕組み?」
「法人保険が販売禁止になるって本当?」
このような疑問にお答えします。まだ国税庁は法人保険の損金算入額の規制を検討している段階ですが、保険会社は国税庁の意向をうけて、商品の販売を一時停止しています。
法人保険が販売禁止になります
法人保険の販売に規制が入りました。国税庁の見解を受けて、保険会社では法人保険の販売を一時停止にしています。
日本生命保険など生命保険各社は13日、節税目的の加入が増えている経営者保険の販売を一時取りやめることを決めた。国税庁が同保険の税務上の取り扱いを見直し、支払った保険料を損金算入できる範囲に制限をかける検討を始めるため。
日本経済新聞:法人保険
なぜ法人保険に規制を始めたかというと、法人から税金が徴収できないからです。
(1) 死亡保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。(2) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合
その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員又は部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その保険料の額はその役員又は使用人に対する給与となります。国税庁:定期保険の保険料の取扱い
法人保険を利用すれば、保険料を全額経費にできてしまうため、経営者にはとても人気な保険でした。
なぜ国税庁が規制を始めたのか
規制する理由は、法人税をたくさん徴収するためです。財務省が発表している税収を見るとわかりますが、法人税の税収は減っています…
出典:財務省https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm
おそらく海外のタックスヘイブンで租税回避しているor企業が外国に行っちゃうが大きな影響を与えていると思います。
しかし、いきなり海外に規制をかけたり、調査をするには大変なので、手短なところから規制をかけたというのが実情に思えます。
法人税の税収は減っているので、今後もさらに節税保険の規制は強くなっちゃいそうですね…
なぜ法人保険は人気だったの?
法人保険が人気だった理由はおもに2つです。
- 保険料が全額経費になった
- 満期で保険料が返金される保険があった
保険料が全額経費になった
個人で生命保険に入っても、経費にはできませんでしたよね?経費ではなくて、生命保険控除としてちょっと税金を下げることができました。しかし、法人保険では全額を経費にできます。
ただし保険を受け取る人によって、損金ではなくて給与になることがあります。わかりやすくするために、表にまとめてみました。(定期保険の場合です)
法人定期保険の税金の扱い | |||
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 | 支払い保険料 |
法人 | 役員・従業員 | 法人 | 損金 |
法人 | 特定の役員のみ | 法人 | 損金 |
法人 | 特定の従業員のみ | 法人 | 損金 |
法人 | 役員・従業員 | 役員・従業員の遺族 | 損金 |
法人 | 特定の役員のみ | 特定の役員の遺族 | 定期同額給与 |
法人 | 特定の従業員のみ | 特定の従業員の遺族 | 損金(ただし給与) |
満期で保険料が返金される保険があった
法人保険といっても種類があって、代表的なものは下記の3つです。
- 養老保険
- 逓増定期保険
- 長期平準定期保険
これらの法人保険には、満期になると保険料が戻ってくるタイプの保険があります。そのため、多くの経営者が退職金のかわりとして、法人保険を活用していました。だって、経費を作りながら退職金の積立もできる仕組みですよ。誰だって利用したくなりますよね。
じつはリスクだらけの法人保険!?
法人保険ってじつはリスクだらけです。だって、法人がいつまで営業できるかなんて、誰にも分からないからです。
残念ながら90%以上のベンチャー企業が、10年以内に倒産します。この統計データを考えれば、法人保険に入っていたって、お金を捨てているようなものです。保険を使う前に、法人が無くなってしまいますからね。
それでも営業マンや会計事務所の人は法人保険を勧めてきます。これは紹介料が大きいからなんです。
知らなかった人もいるかもですが、法人保険を紹介するとけっこうな紹介料をもらえます。なので、会計事務所では顧客に「節税できますよ」とセールス文句で、法人保険を勧めてきます。
まとめ:法人保険で節税は厳しい!止めておきましょうw
法人保険の規制は今後も厳しくなっていくと思われます…
また法人保険はリスクが高いだけで、会計事務所や保険会社が儲かるだけのケースがとても多いです。
いま法人保険を検討されている方がいたら、別の方法で節税をした方がいいと思いますよ。