割賦販売の仕訳は?今後廃止されますが解説します【簿記論】

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「割賦販売の仕訳が良くわからない…」

「問題を解くときのコツは?」

 

上記のような疑問にお答えします。

 

簿記論で出てくる割賦販売ってややこしいですよね…

私が勉強したときの備忘のためにも解説します。

 

割賦販売の仕訳は?

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簿記論の割賦販売の仕訳パターンは全部で5つもあります…

 

番号 収益の認識基準 記帳方法
1 販売基準 一般販売とおなじ
2 回収基準 対照勘定法
修正販売基準法
3 回収期限到来基準 対照勘定法
修正販売基準法

 

原則は、販売基準で収益を認識して記帳する方法ですね。

 

他の回収基準や回収期限到来基準は例外になります。

 

とはいえ試験では例外であっても出題されるので、それぞれの記帳方法を正しく理解しなければいけないです…

 

この記事では販売基準と回収基準についてだけ解説しますね!

 

1、販売基準の場合

割賦販売では、他の売上と区別するので「割賦売上」と「割賦売掛金」を使います。

 

期中仕訳

たとえば100万円の車を割賦販売したとすれば、

 

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
12/31 割賦売掛金 100万 / 割賦売上 100万 カローラ

 

となります。

本来であれば、割賦販売って数年にまたがって売掛金を回収するので、長期割賦売掛金と割賦売掛金に区別したほうがいいと思うんですけどね!

 

ワンイヤールールに則って。

 

とはいえ試験ではそんなことは、求められないので大丈夫ですw

 

決算仕訳

決算ではとくに仕訳はありません

 

販売基準では、売上の全額を一度に認識してしまうので、年度によっては利益にばらつきがでそうですよね。

 

あと税金のことを考えると、売上を認識した年に多く負担しなければいけない。

 

このようなことを考慮して、割賦販売では回収基準で収益を認識することができるようになりました。

 

回収基準を説明するまえに

じつは割賦基準(回収基準&回収期限到来基準)は今後認められなくなりました。

ちなみに法人税法上もダメになります。

 

■割賦基準の廃止

従来、割賦販売における収益計上については、販売基準に代えて、いわゆる割賦基準、すなわち割賦金の回収期限の到来の日または入金の日をもって売上収益実現の日とすることも認められていました。収益認識会計基準のルールでは、割賦基準は認められないとされました

税務研究会:割賦基準の廃止

 

■法人税法上も廃止

平成30年度税制改正により、割賦基準(税法上は、長期割賦販売等に係る延払基準といいます)の廃止が決定されました。

税務研究会:割賦基準の廃止

 

ようするに「商品自体は渡しているので、そのときに全額売上計上しようね」という話しですね。

 

というわけで、今後の簿記論試験では出題されないかもしれません。

 

けっきょく発表がないのでなんとも言えませんが、、、私としては後回しにしてもいいのかなと思っています。実際第69回の試験では割賦販売は出題されていないですし。

 

2、回収基準:対照勘定法で記帳する方法

まず回収基準で収益を認識するので、売上はお金を回収したときだけ認識します。

 

でもこれだと、「一体いくらの割賦販売をしたのかわからない…」となるので、備忘記録のために、「割賦未収金」と「割賦仮売上」を使います。

 

仕訳で見てみましょう。

 

期中仕訳

商品を販売したときは、

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
4/1 割賦未収金 100万 / 割賦仮売上 100万 カローラ

 

と仕訳を作ることで、割賦販売が発生した記録を帳簿に表現します。

ちなみに割賦未収金と割賦仮売上はbs,pl科目ではなくただの記録なので、深追いは無用です。

 

で、代金を10万円回収したときの仕訳がこちら。

 

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
5/31 現金預金 10万 / 割賦売上 10万 回収
割賦売上 10万 割賦未収金 10万

 

ここで初めて売上を10万円だけ認識しました!

当然ですが、備忘記録の残高は減らします。

 

決算仕訳

ここでめんどうなのが、売上に対応する売上原価の計算

 

回収基準では、回収したときに売上を認識するので、売上原価についても、回収した売上に対応する分のみ認識します。

 

で、問題になるのが期末棚卸しの金額です。

 

手許に商品はあるのですが、これだけじゃないですよね?

すでに割賦販売はしたけれど、売上を認識していない分に対応する原価もありました。

つまり、「割賦未収金に対応する原価+期末手許商品=期末棚卸し」になります。

 

仕訳にすると、

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
12/31 仕入 10万 / 繰越商品 10万 期末手許
繰越商品 10万 仕入 10万 期末手許
仕入 5万 / 繰越商品 5万 割賦販売分
繰越商品 5万 仕入 5万 割賦販売分

上記のように、三分法の売上原価を求める仕訳を2つ作ります。

 

ちなみに割賦未収金に対応する原価は、割賦未収金×原価率で求めることが可能です。

 

前期、当期それぞれで割賦未収金&原価率を求める

またやっかいなのが、この割賦未収金って前期と当期の合計金額であることです。

 

前期と当期の割賦未収金が問題に書かれていれば、ラクなのですが、そんなことはないんですよね…

 

さらに原価率も前期と当期ではちがう値になるケースがほとんどです。

なので、この原価率も求める。

 

たとえば前期の原価率を求めるときは、

 

  • (繰越商品ー期末手許商品)/期首割賦未収金(売価)

 

ですかね。いわゆる原価/売価=原価率になっています。

 

それにしてもまじでめんどうだし、複雑ですよね…

実務で使うケースはほぼないのに…

 

本音がでましたが、ここまでが回収基準でした。

 

つづいて回収基準の修正販売基準法のはなし。

 

3、回収基準:修正販売基準法で記帳する方法

修正販売基準法では、利益で調整します。

なので記帳方法は、販売基準とおなじ形式でいきます。

 

期中仕訳

カローラを割賦販売したときの仕訳です。

 

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
4/1 割賦売掛金 100万 / 割賦売上 100万 カローラ

 

全額売上を計上してますね!

で、決算で回収基準に合わせていきます。

 

決算整理

まず決算の仕訳は2つ。

 

  1. 売上原価の算定
  2. 未実現利益の整理

 

売上原価の仕訳はカンタンです。

期末手許商品を繰越商品にすればいいだけだから。

 

売上に対応する分の売上原価を認識するんでしたよね?

で、修正販売基準法では、販売基準のように全額売上を計上しているので、売上原価の調整がありません

 

なので期末手許商品をそのまま繰越商品にすればOKです。

 

未実現利益の整理

ここがキモで、修正販売基準法では利益で調整を入れるんですよね。

 

たとえば①当期に発生した割賦売掛金のうち、当期未回収の利益相当額を控除する仕訳を作ります。

 

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
12/31 繰延売上利益控除 9万 / 繰延売上利益 9万 カローラ

 

利益分を控除するので、売上×利益率から利益額を求めてくださいね!

 

いっぽうで②前期の割賦売掛金を回収したときは、繰り延べていた売上を認識する処理をします。

 

日付 借方 借方金額 / 貸方 貸方金額 摘要
12/31 繰延売上利益 5万 / 繰延売上利益戻入 5万 カローラ

 

金額の求め方は前期割賦売掛金の回収額×前期利益率ですね。

 

こんな感じで、売上ではなく利益で調整します。

売上をいじらないので、

まとめ:廃止されますが、割賦販売の仕訳も理解しておきましょう

割賦基準は廃止されることが決定しました!!

 

とはいえ簿記論の試験範囲ではあるようなので、販売基準、回収基準、回収期限到来基準の収益認識方法とそれぞれの記帳方法は理解しておいたほうが無難かもです。

 

記帳方法は、売上or利益で調整する違いがありました。

また上記の違いにより、売上原価の算定方法にも影響がでましたよね?

 

回収基準で対照勘定法を使った時は、回収分の売上しか認識してないので、売上原価も回収分と手許商品の合計額になるように調整しました。

 

それにしても、、、

簿記の勉強って大変ですね…

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