「法人を解散したい…」
「法人を解散すれば税金はかからない?」
「税金の滞納があるけど解散すれば免除される?」
上記のような疑問にお答えします。
法人を解散すれば、法人が消滅するので税金はかかりません。
でも法人を解散したからといって滞納した税金が免除はされませんので注意しましょう。
法人を解散すれば滞納した税金は免除になる?
滞納していた税金がありながら会社を解散、清算したとしても、清算人に税金の納税義務が生じてしまうので、免除にはならないと考えたほうがいいでしょう。
法人の清算では、清算人を決めなくてはいけなくて、たいていの場合は代表取締役が担います。
清算人の仕事内容はこちら。
第688条
清算人の職務は、次のとおりとする。
1.現務の結了
2.債権の取立て及び債務の弁済
3.残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
3 残余財産は、各組合員の出資の価額に応じて分割する。
wiki:民法第688条
上記を見ていただければ分かるとおり、債務の弁済があるんですよね…
そして国税徴収法のなかで、解散法人が滞納していた国税は清算人に納付する義務をかすと書かれています…
(清算人等の第二次納税義務)
第三十四条 法人が解散した場合において、その法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税を納付しないで残余財産の分配又は引渡しをしたときは、その法人に対し滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に限り、清算人及び残余財産の分配又は引渡しを受けた者(前条の規定の適用を受ける者を除く。以下この項において同じ。)は、その滞納に係る国税につき第二次納税義務を負う。ただし、清算人は分配又は引渡しをした財産の価額の限度において、残余財産の分配又は引渡しを受けた者はその受けた財産の価額の限度において、それぞれその責めに任ずる。
国税徴収法:第二次納税義務
このため、税金を滞納したまま法人を解散したとしても、清算人が納税義務を負わなければいけません。
つまり法人を解散しても税金がチャラにはならないんです…
しかし税金の支払を遅らせる方法はあります。
税金の支払を遅らせるとは?
税金の支払を遅らせる方法は2つ。
- 納税の猶予
- 滞納処分の執行停止
納税の猶予
納税の猶予を申請すれば、すべての国税の納税を1年間延長できます。
しかも延滞税は全額or1/2を免除してもらえるので、かなり有利ですよ。
ただし条件があり、下記のいずれかに該当する必要があります。
- 災害で損失を受けている
- 災害、疫病、廃業したとき
- 税務調査等で課税が遅延したとき
病気や廃業したときも納税の猶予ができるのがいいですよね。
法人を解散するときにも利用できるので申請しておきましょう。
滞納処分の執行停止
リスクはありますが、滞納処分の執行停止が適用されたあと3年間経てば、滞納していた税金がチャラになります。
適用される条件はこちらです。
- 滞納処分をすることができる財産がないとき
- その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき
- 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき
ただし、滞納処分の執行停止は各自治体が独自に判断するのであって、必ず適用される制度ではありません。
また滞納処分の執行停止が適用されたあとに、生活に困窮していないと判断されれば取り消しも行なわれます。
じっさいに滞納処分の執行停止が適用されたあと、取り消しが行なわれ、裁判で争った事例があります。この判決では敗訴でした。
国税不服審判所:滞納処分の執行停止の取り消し事例
交渉が必要になります
滞納処分の執行停止には申請書がないので、みずから役所に事情を話して交渉する必要があります。
全国商工新聞に滞納した400万円をチャラにした事例が記事になっていますので参考までにどうぞ。
最終手段は破産申告
税金だけではなく、借金も抱えてしまっているときは破産申告も検討しましょう。
法人で破産申告をするときは、社長も一緒に自己破産することが多いです。
たとえば法人で銀行から融資を受けていたときとかですね。
けっきょく法人がかかえた借金を社長が連帯保証人として背負うことになってしまうので。
このあたりは税理士と弁護士の両方に相談することをおすすめします。
まとめ:法人を解散しても税金が免除にはなりません
法人を解散しても税金は免除になりませんでした。
社長がかわりに納税義務を負うからでしたね。
税金の支払を遅らせるのであれば、納税の猶予を申請してみてください。