立ち退き料の消費税はどうなる?【実態を把握しよう】

 

「立ち退き料の消費税はどうなる?」

「そもそも税金はかかるの?」

 

thinking

 

 

 

上記のような疑問に、会計事務所歴5年のホスメモがお答えします。

 

立ち退き料のほとんどは消費税が不課税です。

 

でも新しいテナントを入れさせてもらうために、立ち退き料を払った場合は消費税が課税になるので注意しましょう。

 

立ち退き料の消費税は不課税or課税です

立ち退き料と一言にいっても、けっこう種類があるんですよね…。

 

  1. 収益補償:営業中止など
  2. 移転費用の補償:引っ越し費用など
  3. 賃借権の譲渡:新しいテナントを入れさせてもらう

 

で、注意すべきなのは③の新しいテナントをいれさせてもらうために、立ち退き料をはらってどいてもらったきです。

 

①と②は不課税なのですが、ここについても解説させてください。

 

根拠は下記の基本通達ですので引用しておきますね。

 

建物等の賃借人が賃貸借の目的とされている建物等の契約の解除に伴い賃貸人から収受する立退料(不動産業者等の仲介を行う者を経由して収受する場合を含む。)は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償などに伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。 

(注) 建物等の賃借人たる地位を賃貸人以外の第三者に譲渡し、その対価として立退料等として収受したとしても、これらは建物等の賃借権の譲渡に係る対価として受領されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当することになるのであるから留意する。 

国税庁:5-2-7建物賃貸借契約の解除等に伴う立退料の取扱い

 

見ての通り、意味がわかりずらいので嚙み砕いて解説します。

 

1、収益補償の立ち退き料:営業中止など

営業をしている店舗に出て行ってもらうときに、その収益を補填する目的で立ち退き料を払うことがあります。

 

ようするに、営業の機会損失分を負担するから出て行ってというわけ。

 

この取引には、貸主側には対価がありません。

なにか権利を得るわけでもないですし、ただテナント開けてもらうだけ。

 

だから消費税は不課税になります。

 

2、移転補償の立ち退き料:引っ越し費用など

引っ越しにかかる費用を負担するから、立ち退いてくださいというケースもあります。

 

住居として住んでいたときにあるケースですね。

「引っ越し代は負担するから、悪いけれどほかに行ってもらえる?」みたいな感じで。

 

で、これも対価がないので消費税は不課税。

 

ちなみになにをもって対価があると考えるのかは、ケースバイケースです。

それにかなり深い論点なので、「そういうものなのか」ぐらいに留めておきましょう。

 

3、賃借権を譲ってもらうときの立ち退き料:新しいテナントを入れさせてもらう

いっぽうで、新しいテナントを入れたくて、今入っているテナントに立ち退いてもらったときは消費税が課税されます。

 

というのも、どいてらもったことで賃借権を得たから。つまり対価があるんですよ。

 

たとえば駅前でインド料理屋が営業していたとします。

あなたは投資家で、その店舗の立地条件がいいことに気が付きました。

 

で、「インド料理よりも、蕎麦屋を始めたほうがもっと儲かるのに」と思うのです。

 

こんなときにお金を払って立ち退いてもらう。

 

立ち退き料が1年以内に回収できそうなら、投資する価値はありそうですよね。

 

立ち退き料という名目は同じでも、対価の有無によって消費税の課税不課税の判定が異なる話しでした。

 

請求書の名目だけで判断すると消費税の扱いを間違える話し

請求書に「立ち退き料」と書いてあるからといって、安易に消費税を不課税と処理するのはダメでしたよね。

 

請求書の名目だけに注目して会計処理を考えてしまうと、間違えます。

 

ほかにも例をあげるとすると、賃貸契約で「敷金」を払ったときは注意が必要です。

 

一般的なイメージだと敷金は、契約解除時に一部返金されるとおもいますが、はじめから返金されないときもあります。

 

この場合、敷金は返金をされないことが確定した時点で、収益に計上し、事業用の家賃であれば消費税は課税で処理します。

 

(2) 事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金又は更新料などのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となりますので、資産の譲渡等の対価として課税の対象となり、契約の終了により返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはなりません。

 ただし、住宅用建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金又は更新料などのうち、返還しないものは非課税となります。

国税庁:権利金、敷金などの取扱い

 

いわゆる権利の対価として敷金を払ったとされるので、課税なんですよね。

 

名目ではなくて、実態を把握しよう

実務においては、名目ではなくて実態を把握するクセを身につけましょう。

 

請求書を見ながら会計処理を考えるときに「これはなにに対する費用だっけ?」と考えてみてください。

 

そのあとその会計処理が妥当などうかも検討しましょう。

 

ここまで考えれれば、会計の実務家としては十分なレベル。

あとは資格を持てば完璧ですw

 

まとめ:立ち退き料の消費税は課税or不課税でした

立ち退き料と一言にいっても、3パターンがありましたよね。

 

  1. 収益補償:営業中止など
  2. 移転費用の補償:引っ越し費用など
  3. 賃借権の譲渡:新しいテナントを入れさせてもらう

 

③の賃借権の譲渡だけが、対価があるので消費税が課税で、ほかのは不課税でした。

 

請求書の名目だけを考えると会計処理を間違えてしまいます…。

 

請求書を見たときに「実態としては、なにに対する費用なんだろう」と考えるクセをつけるといいと思います。

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