「開始残高で仕訳は作る?」
「プライベート兼用の口座はどうする?」
上記のような疑問に、会計事務所歴5年のホスメモがお答えします。
開始残高は仕訳で調整しませんよ。
貸借対照表に開始残高を直接入力して合わせます。
開始残高の設定で仕訳は作りません
会計ソフトの初期設定で開始残高を合わせるのですが、開始残高は仕訳を作りません。
開始残高の設定があるはずなので、そこで前期期末の貸借対照表の残高を直接入力します。
貸借対照表の残高が合わないままにしてしまうと、あやしい決算書になってしまいます。
確定申告では、決算書も提出するので貸借対照表の管理は重要です。
どうしても理解できないときは、白色申告で申告しましょう。
白色申告では貸借対照表を提出しないですから。
開始残高の設定手順
開始残高の設定手順をまとめました。
- 開業済みの方
- 新しく開業した方(個人)
- 新しく開業した方(法人)
1、開業済みの方
開業済みの方は前期の決算書を持ってきてください。
前期期末の貸借対照表の残高が開始残高の数字になります。
というのも、前期期末の貸借対照表の残高と今期期首の貸借対照表の残高は一致するから。
貸借対照表はこれまでの残高を表しているので、前期末の今期首の数字が一致しないとおかしいんですよ。
これが理解できないと、貸借対照表の管理がむずかしいので白色申告に切り替えるか税理士に依頼したほうが懸命です。
2、新しく開業した方(個人)
新しく開業したときは、開始残高を設定しなくてOKです。
でもこれだと、現金や普通預金の残高も0のままなので、経費を払うと現金の残高がマイナスになります。
こういうときは、①事業貸主という勘定科目をつかって仕訳を作るか、②そのままマイナスにしておいてください。
①事業主貸は「事業のために事業主からお金を借りた」という意味で、法人でいうところの短期借入金ですね。
とてもよく使います。
いっぽうで②のように現金残高をマイナスのままにさせたときは、決算時に事業主貸をつかい残高を調整します。
いずれにしても、新しく開業したときは開始残高を設定しなくて大丈夫です。
3、新しく開業した方(法人)
法人の場合ですと、開始残高で資本金を入力します。
法人を設立するには資本金が必要でしたよね。
つまり、当初からあった資金なので開始残高に入力しましょう。
資本金を仕訳にしてしまうと、相手科目が発生してしまうので、貸借対照表のバランスにゆがみが生じます。
初めて設定するときは間違えやすいので気をつけてください。
プライベート兼用の口座を使っているときの開始残高は?
クラウド会計ソフトと銀行口座を同期させると、「プライベートのお金が反映されているけれどどうしよう」と疑問に感じます。
このようなときは、
- 自動仕訳を使わず、現金で処理する
- 事業主貸、事業主借をつかう
のどちらかで処理をしましょう。
1、自動仕訳を使わず、現金で処理する
プライベート兼用の口座を使っているときは、クラウド会計ソフトと口座同期しないほうがいいですよ。
まず最初にプライベートと事業では口座を明確に分けるべきですし、プライベートと事業用で経費を分けるのはけっこう面倒です。
通帳からの支払いであったとしても、帳簿上で通帳残高を管理していないのであれば、勘定科目で「普通預金」を使用する必要はありません。
現金科目で処理してOKなんです。
わたしはいつも現金で処理してしまいますね、プライベートと事業がまざった口座を管理するときは。
2、事業主貸、事業主借をつかう
もしどうしてもクラウド会計ソフトの自動仕訳を使いたいときは、開始残高では通帳の残高をそのまま入力しましょう。
そして、決算時にプライベートなお金の入出金を事業主貸or事業主借で処理し、残高を調整します。
決算時でなくても、期首から調整してもOK。
事業主貸や事業主借はとても便利な勘定科目なので、ついつい乱用しがちです。
使いすぎると、帳簿のミスを発見しづらくするのでできるかぎり使わないほうがいいと思います。
まとめ:開始残高では仕訳を作りません。直接残高に入力します
開始残高の仕訳は作りませんでした。
貸借対照表に直接残高を入力します。
気を付けるべきなのは、今期から会計ソフトを乗り換えた方ですね。
前期決算書の貸借対照表の残高を今期期首の残高に転記しなければいけません。
これをしないと、残高が繰り越せてないままになってしまうので、貸借対照表の残高がでたらめなままになってしまいます。
もし「難しいかも」と感じたかたは、白色申告にするかお金を払って税理士に依頼しましょう。
税理士に青色申告をしてもらったほうが、65万円控除を使えるのでトータルで損しないです。それに安心感もありますから。