「法人は累進課税ではない?」
「法人と個人事業主の税金を比較したい」
このようなお悩みにお答えします。法人にかかる税金は累進課税ではなくて、比例課税ですよ!税金の比較表も準備しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
法人は累進課税ではなく比例課税です
法人税は比例課税です。比例課税とは、所得がいくらになろうとも一定の税率で税金を計算する方法です。中小企業だと、法人税は所得が800万円までは15%で一定です。なので、所得が100万円だろうが、700万円だろうが法人税率は15%。
一方で累進課税は、所得が増えれば税率も高くなります。累進課税を採用しているのは、個人にかかる税金が多いです。たとえば、所得税、相続税、贈与税です…これらはすべて累進課税です。相続税の税率をご覧ください。
相続税の税率
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額 1,000万円以下 10% - 3,000万円以下 15% 50万円 5,000万円以下 20% 200万円 1億円以下 30% 700万円 2億円以下 40% 1,700万円 3億円以下 45% 2,700万円 6億円以下 50% 4,200万円 6億円超 55% 7,200万円 国税庁:相続税の税率
相続税の場合は、取得金額によって、相続税率が10%から最大で55%まで課税されます…凄まじい違いですね。
法人と個人事業主の税金比較
「けっきょく、法人と個人事業主のどっちが有利なの?」と思いますよね。そこで、税金の比較表を作成してみました。
課税所得 | 所得税 | 住民税 | 個人の合計税率 | 法人の実効税率 |
195万円以下 | 5% | 10% | 15% | 約21% |
195万円超~330万円以下 | 10% | 10% | 20% | 約21% |
330万円超~695万円以下 | 20% | 10% | 30% | 約21~23% |
695万円超~900万円以下 | 23% | 10% | 33% | 約26~34% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 10% | 43% | 約34% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 10% | 50% | 約34% |
4,000万円超 | 45% | 10% | 55% | 約34% |
個人事業主だと、所得税と住民税がかかるので、この2つの税率を足し合わせて検討したほうがいいです。住民税は一律で10%ですが、所得税は累進課税で、所得に応じて税率が高くなります。
一方で法人の場合は、実効税率で検討しましょう。法人にかかる税金はぜんぶで5種類もあります。なので、これらの税率をまとめた実効税率で比較するほうがラクです。
で、表を見ていただければわかりますが、個人の所得が300万円を超えたあたりから法人の税率のほうがやすくなります。
しかし、こんな単純な比較ではダメなんです。
法人と個人事業主にかかる税金シミュレーションが難しい理由
法人と個人の比較は、税率だけでは判断できません。なぜかというと、法人と個人では適用される規制や税法が区別されているからです。
たとえば個人で青色申告にすれば65万円の控除がありましたよね?これ、法人にはありません。でも法人は赤字の繰り越しが最大で9年間できます。個人だと3年間だけです。
その他にも、法人では有限責任なので最悪の場合、会社を倒産させればリスクを回避できますが、個人の場合は自己破産になってしまいます。
このように、税率だけの比較で、法人化すべきなのか決めきれません。税金だけではなくてリスク回避も重要な検討材料になります。
実務の常識を言ってしまえば、ほとんどの法人は赤字で、均等割の7万円(東京都の場合)だけを払うようにしてますよ。なので、売上に継続性が見込めるのであれば、法人化しちゃっていいのでは?と私は思います。
もし失敗したとしても、良い経験になるはずです。まあ、だれも失敗を前提に法人を作らないと思いますが…
まとめ:法人は累進課税ではないので、個人より節税がしやすいです
法人は累進課税ではなく、比例課税なので税率が一定で、所得税よりも節税がしやすいです。
それにほとんどの法人が赤字で申告をしていて、所得割りの7万円(東京都の場合)しか税金を納めていません。なので、個人と法人で所得を分散して、法人は赤字で申告しちゃうのがよくあるパターンですね。
個人はある程度、所得を出して申告している人が多いと思いますよ。だって所得がないと生活ができないですからね。
ちなみに、法人化できる余力がある人は早めに行動したほうがいいですよ。
会社設立をするにはけっこう時間がかかるので、忙しくないときに会社を作っておくといいのでは、と思います。
それでは快適な節税ライフをお過ごしください。