「発生主義と現金主義の違いは?」
「青色申告にするならどっちを選択する?」
このような疑問にお答えします。結論をいうと、青色申告にするなら発生主義にしましょう。
発生主義と現金主義の違いは?
発生主義と現金主義の違いをまとめるとこうなります。
- 発生主義→取引が発生したときに処理
- 現金主義→現金に動きがあったときに処理
発生主義→取引が発生したときに処理
発生主義は取引が発生したときに処理すべきという考え方です。
代表例が決算のときに立てる未払金です。たとえば12月決算のときにはこんな仕訳を作ります。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
12/31 | 消耗品費 | 10,000 | 課税仕入れ8% | / | 未払金 | 10,000 | – | アスクル |
この例では12月31日にアスクルで商品を購入しています。カード決済なので、現金はまだ引かれていませんが、取引は発生していますよね。なので費用と負債を計上しています。
そのご、1月10日にアスクル分のカード決済が口座から引かれたとしましょう。そのときの仕訳はこうなります。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
1/10 | 未払金 | 10,000 | – | / | 普通預金 | 10,000 | – | アスクル |
12月31日に立てた未払金の残高を減らす仕訳ですね。この仕訳を作ったあとは貸借対照表で未払金の残高が減っているか確認してください。実務では貸借対照表の残高管理が非常に大事です。
このように発生主義では、いつお金が落ちようが関係なく、いつ取引が発生したかが重要になります。
一方で、現金主義を採用すると、このアスクルにかかった費用は現金を払った時点ではじめて計上します。
現金主義→現金に動きがあったときに処理
現金主義では、現金を実際に払ったり、受け取ったりしたときに仕訳を作ります。
さきほどのアスクルの例だと、12月31日では決済は完了しても、実際にお金が口座から引かれていませんよね?なので計上しないです。
たとえば1月10日にアスクル分の支払が口座から落ちていれば、このときに初めて仕訳を作ります。こんなかんじですね。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
1/10 | 消耗品費 | 10,000 | 課税仕入れ8% | / | 現金 | 10,000 | – | アスクル |
ご覧の通り、お金が落ちて初めて費用計上します。一方で、発生主義の場合では12月31日の時点で費用計上していました。
で、「発生主義と現金主義でどっちがいいのか」と聞かれれば間違えなく発生主義がいいです。
青色申告にするなら発生主義にしましょう
じつは小規模事業者に該当すれば現金主義で管理しても青色申告OKです。
小規模事業者とは、その年の前々年分の事業所得の金額及び不動産所得の金額(事業専従者給与(控除)の額を必要経費に算入しないで計算した金額)の合計額が300万円以下である方のことです。
でも青色申告では、発生主義で仕訳を作ることが原則的な要件になっているので、発生主義で帳簿を管理するほうがいいです。
とはいっても、毎回のように未払金を作って、未払金の残高を減らしてという作業がめんどうですよね。
そのようなときは、決算のときだけ未払金を作る方法がいいですよ。たとえば普段は現金に動きがあったときに仕訳を作るのですが(現金主義ですね)、決算月のときだけは未払金を立てる方法です(発生主義になります)。
2つの主義が混同していますが、決算月さえ発生主義で帳簿ができていればOKです。結論は同ですので。
まとめ:青色申告にするなら発生主義で帳簿を管理しましょう
発生主義と現金主義の違いは下記の通りでした。
- 発生主義→取引が発生したときに処理
- 現金主義→現金に動きがあったときに処理
発生主義では取引が発生したときに処理をするので、費用をすぐに計上できる代わりに、貸借対照表で未払金などの負債の残高を管理する手間が増えます。
一方で、現金主義はお金を払ったり、受け取ったりした時点で仕訳を計上するので、貸借対照表の残高管理は必要ないです。
今日はここまでにしますね。
発生主義と現金主義はけっこう大事なので、意識しながら帳簿を作ってもらえればと思います。