「キャンセル料は消費税がかかるの?」
「消費税がかからないケースは?」
上記のような疑問にお答えします。
キャンセル料を細かく分けると、①損害賠償に対するものと②解約手数料に対するものに分けられます。
そのうち、①の損害賠償金にたいするものは不課税となり、②の解約手数料に対するものは課税です。
さらに深く言えば、どちらか区別がつかないときは不課税です。
キャンセル料に消費税はかかるの?
キャンセル料の性質は3つに分けられます。
- 損害賠償金:不課税
- 解約手数料:課税
- 上記の両方:不課税
キャンセル料という名目にこだわるのではなくて、実質、損害賠償に相当するのか、それとも解約手数料に該当を考察します。
それぞれで消費税の区分がちがうので解説していきますね。
1、損害賠償金
キャンセル料の性質が損害賠償金に相当するものであれば、消費税区分は不課税です。
というのも、損害賠償金とは「解約に伴い、稼げたはずの利益を補填する」性格のもだから。
たとえば不動産売買契約を一方的に解除するとします。
いわゆる手付解除(手付金流し)のことで、これにともなって手付金は解約の損害賠償金として扱われ、消費税は不課税になります。
サービスの対価ではなくて、利益の補填としてお金を払うわけですからね。
もう少し詳しくいうと、消費税が課税される条件の一つである、役務の提供にたいして「対価を得る」行為には該当しないから不課税です。
損害賠償は利益の補填なので、対価を得ていない。だから消費税は不課税となると覚えておきましょう。
2、解約手数料
いっぽうでキャンセルにともなう解約手数料は消費税が課税です。
なぜなら解約請求におうじで行う役務の提供に係る対価に相当するから。
ようするに解約すれば、一定の事務処理をしなければいけないので、このサービスに対する手数料は課税だというわけです。対価があるので。
たとえば航空券をキャンセルすると、一定の金額で払戻手数料を取られますが、これは解約手数料と同じです。
いっぽうで航空券には取消手数料もありますが、これは不課税。
なぜかというと、取消手数料は運賃等によって変動するものになっており、ようするに便によって損害賠償金を変動させているだけだから。
たとえばJALの取消手数料は運賃の20~90%まで変動していましたよ。
いっぽうで払戻手数料は440円の定額でした。
参照;https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/charge/index.html
航空券をキャンセルしたら、取消手数料は不課税、払戻手数料は課税で処理しましょう。
3、損害賠償金と解約手数料の両方を含んでいるとき
キャンセル料のなかには、損害賠償金と解約手数料の両方を含んでいるものもあります。
この場合、実務上の処理の簡便化するために、消費税は不課税となりました。
代表的なのは宿泊のキャンセル料。
宿泊のキャンセル料は、宿泊日が近づくにつれて金額が大きくなりますよね?
たとえば3日前のキャンセルだと宿泊代の50%で、前日だと90%とか。
で、問題なのは損害賠償金と解約手数料の区別がないことなんですよね。
だから宿泊のキャンセル料は不課税です。
キャンセル料を設定するときは損害賠償と解約手数料を区別しないほうが有利
もしあなたが経営者で、サービスに対するキャンセル料を設定しようと考えるとしましょう。
節税の観点でいうと①キャンセル料は変動させ、②損害賠償金と解約手数料は明確に分けないままにしましょう。
なぜかというと、損害賠償金と解約手数料の売上を不課税取引にできるから。
不課税取引にすれば、消費税分節税になります(あなたが納税義務者なら)。
それに課税売上割合にも影響を与えないです。
まあこんな節税よりも、いかにキャンセルをさせないかに時間を費やすべきですけどね。
「コロナでキャンセルがたくさん出てしまった」という経営者は検討してもいいかもです。
たったすこしの工夫で消費税の節税はできます。
これを積み重ねることで、経営の安定化を図りましょう。
まとめ:キャンセル料の消費税は課税or不課税でした
キャンセル料の性質は3つに分けられました。
- 損害賠償金:不課税
- 解約手数料:課税
- 上記の両方:不課税
損害賠償金は稼げなかった利益の補填をするので、対価がなく、不課税で処理します。
いっぽうで解約手数料は解約手続きの事務処理サービスに対して払うものなので、対価があり、課税になります。
最後に損害賠償と解約手数料の区別がないときがありますが、これは処理の簡素化を考えて、不課税にすると決められました。
今日は以上です。