売掛金の決算仕訳はどうすればいい?【残高を検証しよう】

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「売掛金の決算仕訳を作りたい…」

「どのように仕訳をつくればいいの?」

 

上記のような疑問にお答えします。

 

期中は現金主義で処理して、期末で発生主義に帳尻を合わせている帳簿だと、期末だけ売掛金を計上すればOKです。

決算で計上すべき売掛金は、期中で未回収の売上に対応する金額ですね。

 

また決算仕訳を作成したあとは残高が正しいか、確認しましょう。

✔️この記事の内容

・売掛金の決算仕訳

・会計ソフトで売掛金を作ろう

 

売掛金の決算仕訳はどうすればいい?

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売掛金の決算仕訳は、帳簿のつけ方によって変わります。

  1. 期中は現金主義、期末で発生主義へ帳尻合わせの場合
  2. 毎月売掛金を計上している場合
  3. 売掛金がない場合

 

毎月売掛金を計上している帳簿は、実際のところかなり少ないので、①に該当する方がほとんどだとおもいますよ。

 

1、期中は現金主義、期末で発生主義へ帳尻合わせの場合

現金が入金されたときに、売上を計上していると、現金主義の帳簿になってしまいます…。

青色申告では発生主義を要請しているので、決算で発生主義になるように帳尻を合わせてしまえばOKです。

 

たとえば、12月決算で下記のような売上があったとしましょう。

  1. 11/1 売上 30万 未回収
  2. 12/5 売上 50万 未回収
  3. 12/15 売上 70万 回収済み

 

このなかで売掛金で計上すべきなのは、①と②です。なぜなら未回収だからですよね?

③は入金時に売上を認識しているはずなので決算で売掛金は計上しません。

 

上記を決算仕訳にすると次のようになります。

日付 借方 借方金額 税区分 / 貸方 貸方金額 税区分 摘要
12/31 売掛金 50万 / 売上 50万 課税売上10% 12/5売上
12/31 売掛金 30万 売上 30万 課税売上10% 11/1売上

 

もちろん、11月売上は、11月に計上したほうがベターです。

しかし簡便的な方法をつかえば、上記のように決算時で未回収の売上をすべて認識しても、税法上は大丈夫です。税額に影響はないので。

 

ただし、融資や助成金では影響があるので注意してくださいね。

とくにコロナの影響で持続化給付金を受ける時は、前年度と今年度の月ごと売上を比較するので、発生主義で売上を認識していないと、正しい比較ができなくなる可能性があります。

 

2、毎月売掛金を計上している場合

毎月売掛金を計上している場合は、決算で特別な仕訳はいりません。

期末の売掛金だけを計上すれば、発生主義で売上が計上できているので問題なし。

 

実務上の手間は増えますが、きちんと毎月売掛金を計上したほうが帳簿が、実際の財務状況を表現するのでおすすめです。

 

発生主義で管理された帳簿のほうが、財務分析をしたときに正しい結果を映し出しますからね。

たとえば月ごとの営業利益率の推移とか。

 

財務分析ができれば、「なぜ3月は4月に比べて利益が出たのだろう?」という疑問を解消しやすいです。

 

3、売掛金がない場合

売掛金がない場合は、当然ですが、決算でも売掛金は必要ないです。

 

たとえば飲食店でクレジットカード決済を導入していなければ、売掛金ってほぼないんじゃないですかね?

 

売掛金がない帳簿もありえるので、必ずしも売掛金を計上しなくて大丈夫です。

 

決算仕訳を作成後は、売掛金の残高を検証しよう

毎回書いていますが、貸借対照表の勘定科目で仕訳を作成したあとは残高を検証しましょう。

決算時の売掛金残高は正しい数字になっているか、の検証ですね。

 

たとえば売掛金の残高が100万円だとし、内訳を一つひとつ検証していくわけです。

12月で計上した売掛金が90万円だとすれば、10万円は一ヵ月以上入金がなかった売掛金であることがわかります。

 

そして、その10万円はほんとに未入金のままであるのか確認していきます。

 

このようにして、売掛金の残高が正しい数字なのかチェックをします。この作業が非常に重要で、これができるようになれば、経理として年収400万円は狙えます。

 

会計ソフトで売掛金の決算仕訳をつくろう

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さて会計ソフトを使い、売掛金の決算仕訳を作成していきましょう。

  1. freee
  2. やよいの青色申告
  3. マネーフォワード

 

1、freee

まずは売掛金の決算仕訳を作ります。

メニューバーの「確定申告」から「その他の機能」を選択し、「振替伝票」を開きます。

ここで下記のような仕訳を作りましょう。

freee

 

仕訳を作成したあとは、残高試算表で売掛金の残高を検証します。

freee1

 

仕訳を作成したあとは、BSで残高検証をするクセをつけておくといいですよ。

 

2、やよいの青色申告

やよいの青色申告でも売掛金の決算仕訳を作ります。

freeeと流れはおなじですね。

yayoi

 

そして仕訳作成後は、残高試算表で残高を確認でした。

yayoi2

 

もうカンタンですよね?

細かく分けたい人は、売掛金に補助科目をつけるのがおすすめです。

 

3、マネーフォワード

最後はマネーフォワードで売掛金の決算仕訳。

「決算整理仕訳として登録」のチェックボックスがあるので、チェックをいれておくとあとで検証しやすくなります。

mf

 

これまでと同じ通り、売掛金の残高を確認します。

「正しい売掛金の金額がいくらであるべきか」を意識すると、検証しやすいですよ。

もう決算仕訳も楽勝ですよね?

mf1

 

まとめ:売掛金の決算仕訳を作成し、残高を検証しよう

売掛金の決算仕訳は、帳簿のつけ方によって変わりました。

  1. 期中は現金主義、期末で発生主義へ帳尻合わせの場合
  2. 毎月売掛金を計上している場合
  3. 売掛金がない場合

 

中小企業さんで、税理士に帳簿作成を任せている場合、ほぼまちがえなく①で帳簿を作成してますよ。仕訳数が少なく、ラクなので。

 

そうすると、決算仕訳でこれまで認識していなかった売掛金をすべて認識することになります。

このデメリットは、正規の帳簿ではないこと、正確な財務分析ができないことでした。

 

またコロナの補助金等は売上ベースで、給付の対象者が判定されているので、③の帳簿では誤った判断を導いてしまう恐れもありました。

とはいえ、税法上は期末残高が発生主義の数字を表していれば問題なしです。

 

私自身の帳簿は、すべて発生主義できっちり管理しています。

手間は増えましたが、財務分析をして、正しい経営判断をしたいので変更予定はないです。

 

最後に、売掛金の決算仕訳を作成したあとは貸借対照表で残高を確認してくださいね。

これだけは何度も繰り返しお伝えしていきます。

 

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