圧縮記帳しない?節税効果を検証してみました【補助金】

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「圧縮記帳は節税になるの?」

「圧縮記帳しないと損になる?」

 

上記のような疑問に御答えします。

 

結論をいうと、節税というよりも圧縮記帳は資金繰りの改善になります。

 

圧縮記帳の節税効果を検証しました

圧縮記帳でどれくら節税になるのかケース別に検証しました。

 

ケース1:毎年100万円の所得があるとき

ケース2:初年度より所得が増えていくとき

ケース3:初年度より所得が減っていくとき

 

✔️前提条件

・耐用年数5年の固定資産を300万円で購入

・法人実効税率は21%,23%を使用

・補助金は100万円

・定率法で償却

 

結果はこちらになります。

法人税額 圧縮記帳後の法人税額 増減額
所得100万 630,000 630,000 0
初年度より所得増加 4,954,000 4,966,000 12,000増加
初年度より所得減少 1,716,000 1,704,000 -12,000減少

 

内訳をそれぞれ確認していきますね。

毎年100万円の所得が出るとき

まずは圧縮記帳なしのケース。

 

利益 補助金収入 圧縮損 減価償却費 差引利益 税額
1期目 1,000,000 1,000,000 1,200,000 800,000 168,000
2期目 1,000,000 720,000 280,000 58,800
3期目 1,000,000 432,000 568,000 119,280
4期目 1,000,000 324,000 676,000 141,960
5期目 1,000,000 324,000 676,000 141,960
合計 3,000,000 3,000,000 630,000

 

1期目に補助金収入100万円が計上されるため、税額が高くなっています。

いっぽうで圧縮記帳をするとつぎのようになります。

 

利益 補助金収入 圧縮損 減価償却費 差引利益 税額
1期目 1,000,000 1,000,000 1,000,000 800,000 200,000 42,000
2期目 1,000,000 480,000 520,000 109,200
3期目 1,000,000 288,000 712,000 149,520
4期目 1,000,000 216,000 784,000 164,640
5期目 1,000,000 216,000 784,000 164,640
合計 2,000,000 3,000,000 630,000

 

補助金雑収入が相殺できた分、1期目の税額が下がりました。

ただし、5年間のトータルで考えると税額は一致します。

 

とはいえ、税金は少ない方が資金繰りや金利面で有利なので、圧縮記帳をしたほうが有利な結果となりました

 

初年度より所得がが増えていくとき(税率差あり)

初年度は所得が100万で、それ以降は600万円でシミュレーションします。

 

圧縮記帳なしの結果がこちら。

利益 補助金収入 圧縮損 減価償却費 差引利益 税額
1期目 1,000,000 1,000,000 1,200,000 800,000 168,000
2期目 6,000,000 720,000 5,280,000 1,134,400
3期目 6,000,000 432,000 5,568,000 1,200,640
4期目 6,000,000 324,000 5,676,000 1,225,480
5期目 6,000,000 324,000 5,676,000 1,225,480
合計 3,000,000 23,000,000 4,954,000

 

そして圧縮記帳後です。

利益 補助金収入 圧縮損 減価償却費 差引利益 税額
1期目 1,000,000 1,000,000 1,000,000 800,000 200,000 42,000
2期目 6,000,000 480,000 5,520,000 1,189,600
3期目 6,000,000 288,000 5,712,000 1,233,760
4期目 6,000,000 216,000 5,784,000 1,250,320
5期目 6,000,000 216,000 5,784,000 1,250,320
合計 2,000,000 23,000,000 4,966,000

 

結果は、圧縮記帳により12,000円税額が増えてしまいました…

 

その理由は税率差にあります。

 

法人の実行税率は所得が400万円以上になると、税率があがるので、ここで影響をうけます。

圧縮記帳を行なうと毎年の減価償却費は下がります。

 

そのため、初年度以降で利益が増えてしまい、その増えた利益に高い税率がかけられるので不利になってしまいます…。

 

しかし、初年度の税額はぐっと下がるので、実際は圧縮記帳をおこなう法人さんが多いとおもいます

それに今後5年間で所得が出続けるとはかぎりませんもんね。

 

初年度より所得がが減っていくとき(税率差あり)

所得が減っていくケースでもシミュレーションしました。

まずは圧縮記帳なし。

 

利益 補助金収入 圧縮損 減価償却費 差引利益 税額
1期目 6,000,000 1,000,000 1,200,000 5,800,000 1,254,000
2期目 1,000,000 720,000 280,000 58,800
3期目 1,000,000 432,000 568,000 119,280
4期目 1,000,000 324,000 676,000 141,960
5期目 1,000,000 324,000 676,000 141,960
合計 3,000,000 8,000,000 1,716,000

 

つづいて、圧縮記帳後。

 

利益 補助金収入 圧縮損 減価償却費 差引利益 税額
1期目 6,000,000 1,000,000 1,000,000 800,000 5,200,000 1,116,000
2期目 1,000,000 480,000 520,000 109,200
3期目 1,000,000 288,000 712,000 149,520
4期目 1,000,000 216,000 784,000 164,640
5期目 1,000,000 216,000 784,000 164,640
合計 2,000,000 8,000,000 1,704,000

 

初年度のみ、所得が高いケースだと圧縮記帳により12,000円節税になりました。

資金繰りが改善できますし、節税にもなったので一石二鳥ですね。

 

税率差があるので、所得が高いときは圧縮損を計上したほうが有利です。

 

まとめ:圧縮記帳は節税効果よりも資金繰り改善に役立ちます

圧縮記帳は課税の繰延べなので、きほんてきに節税効果は期待できません。

 

ただし、圧縮記帳をすることで初年度の税額をおさえることができるため、資金繰りの改善には貢献できますよ。

 

また初年度より所得が下がるケースで税率差があるときは、圧縮記帳で節税になることもあります。

 

とはいえ翌年以降の所得がいくらになるのかは、なかなか予測できないですよね。

「圧縮記帳は資金繰り改善のために利用する」のがいいのかなとおもいます。

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