1,000万で!?個人事業主が法人化するタイミングは?【消費税】

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何を基準にして個人事業から法人化すべきか判断がつかない経営者の方も多いと思います。そこでこの記事では下記のような疑問にお答えします。

 

「個人事業主が法人化するべきタイミングを知りたい」

「法人化すれば節税はできる?」

 

 

個人事業主が法人化すべきタイミングとは?

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個人事業主が法人化すべきタイミングは課税売上と課税所得で判断できますよ。

 

  1. 課税売上が1,000万円を超えたとき
  2. 課税所得が約500万円を超えたとき

 

1つ目は消費税を節約するための基準で、2つ目は所得税と住民税を節税するためのものです。

課税売上が1,000万円を超えたとき

課税売上が1,000万円を超えると、消費税の確定申告がその年の2年後に必要になるのをご存知でしたでしょうか。この消費税の確定申告は、経営者にとって不利な場合が多いので要注意です。

 

まずは消費税の計算方法について説明させてください。下記のような試算表でシミュレーションをしてみます。(単位は万です)

 

試算表 消費税計算用
売上合計 1,000 1,000
 給料 400
 消耗品費 300 300
    旅費交通費 200 200
経費合計 900 500
所得 100 500

 

この試算表では、売上1,000万円にたいして、経費が900万円あるので、所得は100万円だけ残る結果となりました。しかし消費税を計算する際には、売上や経費には消費税がかかるものとかからないもの(課税、非課税)があるので、もう少し計算が複雑になります。

 

たとえば、お給料や保険料などは消費税が非課税な経費です。この試算表ではお給料が400万円ありますので、これは消費税が非課税の経費となります。

 

そのため、消費税を計算するときのお給料は0円になります。お給料が0円になった分、所得が400万円増えるので、消費税計算用の所得は500万円となり、この所得に消費税8%をかけた40万円が納税額となります。

 

今回のシミュレーションのように、消費税だけで年間40万円も払うのは大きな負担ですよね。このように消費税は経営者にとって不利に働くことが多い税金です。

法人化することで消費税を2年間免税にする方法

消費税が不利な税金であると説明しましたが、個人事業主から法人化することによって、この消費税の確定申告を2年間免除することができます

 

新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となります

国税庁:新規法人設立で消費税免税

 

具体的に、消費税を免税にするには下記のような条件がありますのでご覧ください。

 

  • 消費税の免税1年目:資本金を1,000万円未満にする
  • 消費税の免税2年目:特定期間の課税売上or給与支払い額が1,000万円以下

まず法人の1年目で消費税を免税にするには、資本金を1,000万円未満にする必要があります。

ややこしいのですが税法では、「法人はみんな、2年間免税が基本です」と言いながら、ただし「資本金が1,000万円以上の法人は消費税を免税にしないよ」という書き方をしています。

 

その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人(注2)については、その基準期間がない事業年度における課税資産の譲渡等について納税義務を免除しないこととする

国税庁:新規法人設立で消費税免税

 

つづいて、法人の2年目で消費税を免税にするには、特定期間の課税売上or給与支払い額が1,000万円以下にする必要があります。

これも先ほどと一緒の書き方ですね。

 

平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

国税庁:新規法人設立で消費税免税

 

ここでいう「特定期間」とはその事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間のことです。特定期間を間違えてしまうと、消費税が免税になりませんので気をつけましょう。

 

特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。

国税庁:新規法人設立で消費税免税

 

以上をまとめると、新しい法人の資本金を1,000万円未満にし、特定期間の課税売上もしくは給与支払額が1,000万円以下になれば、消費税が2年間免税になります。

 

課税所得が約500万円を超えたとき

つづいて、個人事業主は課税所得が約500万円を超えたときに、法人化することで節税が期待できます。

 

課税所得が約500万円では、所得税率の20%に加え住民税率が一律で約10%かかるので、合計すると税率が約30%になり、中小法人にかかる実効税率の約21~26%よりも高くなります。このタイミングで法人を作り、所得を法人と個人に分散させることをおすすめします。

 

たとえば課税所得が500万円のときに法人化するとします。役員報酬を月に8万円とすれば、所得税と住民税はゼロになり、残りの課税所得404万円に中小法人にかかる実行税率、約21%が課税されます。このときの法人税額等は約848,400円です。

 

一方で個人事業主のままですと、所得税と住民税を合わせて約30%が課税されるので、税額は約1,500,000円になります。このように比べてみると、法人化したほうが有利なのが分かります。

 

ところが税率だけをみると、課税所得が330万円を超えたときでも法人化したほうが有利です。しかし、法人化するには会社設立費用がかかり、事務作業の負担も増えます。すこし余裕をもたせて、課税所得が約500万円を超えるタイミングで法人化するのがいいでしょう。

法人税は比例税率なので、所得が多くなるほど有利です

所得が多くなるほど、法人化したほうが節税できます。まずはこちらの所得税率の一覧表をご覧ください。

 

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

国税庁:所得税の税率

所得税は累進課税率を採用しています。たとえば課税所得が300万円を超えると所得税率が10%から20%へ、10%も上がります。このように所得税は、所得が高くなるほど所得税率も高くなってしまい、経営者にとって不利です。

 

一方で、住民税や法人にかかる税率は比例税率がほとんどなので、所得が増えても税率は一定です。

たとえば中小企業における法人税率は、事業開始年度によってすこし変わりますが、所得800万円までは一定で15%。法人所得が100万、700万円でも法人税率は15%です。

 

ただし法人にかかる税金は法人税だけではなく、地方法人税、法人住民税、法人事業税があります。これらを合計すると、中小法人所得に対する実効税率として約21~26%かかりますので間違えないようにしてください。

まとめ:個人事業主が法人化を考えるときは課税売上と課税所得で判断しましょう

 

個人事業主が法人化を考えるときは、課税売上と課税所得で判断できました。

 

  1. 課税売上が1,000万円を超えたとき
  2. 課税所得が約500万円を超えたとき

 

課税売上が1,000万円を超えると2年後に消費税の確定申告が必要なりますので、注意してください。ほとんどの経営者にとって、消費税は不利な税金になります。

 

課税所得が約500万円を超えたときは所得税率と住民税率の合計が約30%になり、中小法人にかかる実効税率の約21~26%を超えるので、法人と個人で所得を分散したほうが有利になります。

 

以上までが、個人事業主が節税を目的として法人化すべきタイミングの解説でした。

日々損しないように、戦略を練っていきましょうw

 

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