どちらが得?一時所得と雑所得の違いは?【判例で解説します】

「一時所得と雑所得の違いがわからない…」

「どっちの所得のほうがお得なるの?」

 

このような疑問にお答えします。結論をいうと、どっちが得になるかはケースバイケースなのでわかりません。すみません、、、でもどの所得に該当するのか、という考え方は説明できるので、判例を交えて解説します。

一時所得と雑所得でどちらが得になるかは経費によって変わります

一時所得or雑所得でどちらが有利になるかは、経費がどれくらいあるかによって変わります。

 

  1. 経費が少ない場合→一時所得が有利
  2. 経費が多い場合→雑所得が有利

 

経費が少ない場合→一時所得が有利

一時所得の計算では、控除などが使えるので経費が少ない場合に有利です。計算方法はこのようになります。

 

  • 一時所得の課税対象額=総収入合計-収入を得るために支出した額-特別控除額(最高50万円)×1/2

 

たとえば、経費がなしで臨時収入が100万円入ったとすれば、一時所得=100万円ー50万円×50%で25万円になります。

 

一方で雑所得の場合、一時所得のような控除はないので、経費がなければ、100万円がそのまま所得になってしまいます。

 

これではかなり不利ですよね…

経費が多い場合→雑所得が有利

経費が多いのであれば、雑所得のほうが有利になることがあります。雑所得の計算方法はこちら。

 

  • 雑所得の課税対象額=総収入合計-必要経費

 

たとえば100万円を稼ぐのに、90万円の経費がかかったとしましょう。そうすると雑所得=100万ー90万で10万円になります。

 

一方で、一時所得の場合、90万円の経費があったとしても、収入を得るために直接支出したお金しか経費として認められません。

 

仮に、10万円だけ経費が認められたとすれば、一時所得=100万ー10万ー50万×1/2で、20万円になります。

 

このように、一時所得と雑所得では、必要経費として認められる範囲が違いますし、計算方法も違います。なので、どちらが得かといえば、ケースバイケースなんです。

 

一時所得と雑所得の違いは?判断できないときの考え方

ほとんどの人が「一時所得のほうが有利だ」と自動的に考えているので、無理矢理にでも一時所得にしようとしちゃうんですよね…

 

でもあとから税務署に指摘されて、修正申告になってしまうとペナルティの額が大きくなってしまうのでリスク高めです。

 

なので、どのようにして一時所得or雑所得を判断しているのかを判例を交えて解説していこうと思います。

 

一時所得になる要件とは

一時所得になる要件はこの3つです。

  1. 他の8種類の所得にあたらない
  2. 非継続性がある
  3. 非対価性がある

 

税法ではこのようにわかりづらく書いてますが、上記と意味は同じです。

 

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

国税庁:一時所得

 

一時所得の代表例が競馬の払戻金です。

 

ところが、競馬で得た収益でも、継続性があれば、「一時所得ではなく雑所得である」という最高裁の判例が出ています。

 

長文ですが、大事な部分なので引用しますね。

 

競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます

 具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます

国税庁:馬券

 

このように、実態がどうなっているかが大事です。たとえ競馬で得たお金が一時所得になるケースが多くても、雑所得になりえます。

 

雑所得の要件とは

雑所得の要件はシンプルで、他の9種類の所得に該当しないものが雑所得です。

 

雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

国税庁:雑所得

 

つまり雑所得は、他の所得の要件に該当するか確認しないと判断できないです…めんどうですみません。

 

まとめ:一時所得or雑所得のどちらが得かは個別に検証しましょう

一時所得or雑所得でどちらが有利になるかは、経費がどれくらいあるかによって変わりました。

  1. 経費が少ない場合→一時所得が有利
  2. 経費が多い場合→雑所得が有利

 

一時所得は、控除が多くつかえるので経費が少ないときに有利でしたよね。一方で雑所得は認められる経費の範囲が一時所得よりも広いので、経費があるときに有利でした。

 

またほんとうに一時所得になるか、雑所得になるのかよく検証したほうがいいですよ。判断を間違えると、ペナルティ付きで税金を徴収されかねないですから…

 

さて今日はおしまいです。

おつかれさまでした。

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