「開業するまえにかかった費用を計上したい…」
「開業費の仕訳はどうすればいい?」
このような疑問にお答えします。個人事業を始めるまでにかかった費用は開業費として資産計上し、任意償却することでいつでも経費にすることができますよ。
個人事業主になるまでにかかった費用は開業費です
個人事業を始めるまでにかかった費用は開業費として資産計上できますよ。これを償却することで経費にできるので、忘れずに計上しましょう。かなり節税できますw
どこまでが開業費になるの?
基本的には、開業をするまでにかかった費用が開業費になります。
具体的にはこんな感じ。
- 打ち合わせをした場合の接待交際費、旅費交通費
- チラシや会社案内を作成した場合の広告宣伝費
- 免許業種における許認可取得費用
- 市場調査をした場合の調査費
また法人の場合は、会社設立にかかった費用はすべて創立費で計上します。開業費とおなじようなものです。
一方で開業費として計上できないものもあります…固定資産です。
固定資産は開業費には含めません
固定資産は、それぞれに減価償却の方法が異なりますので開業費にはできません。
処理がややこしくなるので、できるかぎり開業前に固定資産を買わないほうがいいと思いますよ。もし買ってしまったときは、資産計上して、減価償却をしていくことになります。
開業費の仕訳はどうすればいい?
開業費は繰延資産なので、開業費を計上したときは資産が増えます。そのあと開業費を経費にするためには、繰延資産償却費を計上して、開業費の残高を減らす仕訳を作る流れです。
たとえば開業前にホームページを作っていて、その費用を計上してみますね。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
5/1 | 開業費 | 100,000 | – | / | 現金 | 100,000 | – | ホームページ作成費用 |
こんな感じで、資産を計上します。このあとは、貸借対照表の繰越資産の残高が増えていることを確認してくださいね?開業費は繰越資産という資産科目なので。
で、開業費を経費にするときは繰越資産償却費を計上します。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
12/31 | 繰越資産償却費 | 100,000 | – | / | 開業費 | 100,000 | – | 開業費償却 |
このあとなにをするかは分かりますよね?そう、貸借対照表で繰越資産の残高が減っていることを確認してください。また損益計算書で繰越資産償却費が計上されていることも合わせて確認しておけば文句なしです。
こんな感じで、開業費は一旦資産に計上して、そのあと償却をすることで経費にさせます。
開業費は任意償却なので、好きなときに経費にしてOK
開業費のメリットは、任意償却なのでいつでも好きなタイミングで経費計上できることです。
任意償却が可能な繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。
繰延資産(開業費)の償却費の計算については、60か月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。
任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。
国税庁:開業費の任意償却
たとえば個人事業を始めたばかりのころは、赤字になるケースがほとんどです。なので、開業費を入れても意味がないんですよね。だから、黒字になり始めた3~5年後に開業費を償却して経費にすれば、かなり節税できます。
もっといえば青色申告で欠損金の繰越もしておけば、開業してから数年間はほとんど税金を納めなくてもOKな帳簿ができあがりますw
開業費は控えめに言って、かなり節税メリットがあるので忘れずに計上してくださいね。
まとめ:個人事業主は開業費を計上して節税しましょう
開業するまでにかかった費用は開業費として資産計上することができました。その後は、償却をすることで経費になりましたよね?
税法上、開業費は任意償却なので好きなタイミングで経費にすることができます。これをうまく活用すれば、開業してから数年間はまったく税金を払わなくてもOKな状態になりますよw
ぜひ開業費を計上して節税をしてください。
今日の記事はこれでおわりです。