「前払費用の消費税はいつ計上すればいいの?」
「短期前払費用になれば、現金主義でもOK?」
「仕訳で解説してほしい」
上記のような疑問にお答えします。
原則としては、前払費用にかかる消費税は経費計上するときに課税仕入を計上します。つまり現金で払った時点ではなく、費用認識した時点で消費税も認識するということです。
前払費用の消費税はいつに計上すればいい?
原則として、前払費用で払ったときは、消費税を認識しません。費用計上したときに消費税を計上します。
消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、所得税、法人税の場合と同じように、原則として資産の引渡しやサ-ビスの提供があった時とされています。
国税庁/前払費用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6165.htm
たとえば12月決算で、1月分の広告代を前払いで10万円支払ったとしましょう。
このときの12月末で計上する仕訳はこちら。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
12/31 | 前払費用 | 10万 | – | / | 現金 | 10万 | – | 1月分広告費 |
上記のように消費税の課税仕入れは認識しません。
そのご、この翌期にあたる1月に費用計上します。
その仕訳はこちらです。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
1/1 | 広告宣伝費 | 10万 | 課税仕入10% | / | 前払費用 | 10万 | – | 1月分広告費 |
このように、前払で払った費用にかかる課税仕入は、費用計上をしたときに認識します。
ただし、短期前払費用に該当すれば、現金を支払ったときに損金算入もできますし、消費税の課税も認識できます。
短期前払費用なら現金主義でOK
じつは前払費用には、短期前払費用というものがあります。
1年以内に費用化するので、「わざわざ一旦資産に計上するのが煩わしい…」という実務上の要望に応えて、短期前払費用に該当すれば、現金を支払った時点で損金算入できます。
たとえばさきほどの1月分の広告費を12月の時点で経費計上でき、かつ消費税も課税仕入がとれます。仕訳で表現しますね。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
12/1 | 広告宣伝費 | 10万 | 課税仕入10% | / | 現金 | 10万 | – | 1月分広告費 |
ただし、短期前払費用には条件があります。
法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、1にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
ただし、借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。
国税庁/短期前払費用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5380.htm
まとめると次の4つになりますよ。
- 収益と対応しない
- 継続的に同じ処理をする
- 決算までに支払を終えている
- 1年以内に役務の提供をうける
上記の条件にあうものといえば、地代家賃ですね。
家賃は基本、前払いがほとんどだと思いますが、短期前払費用に該当すれば支払いを済ませた時点で経費計上できます。
経費は早く計上できたほうが節税になるので、有利です。
ただし、継続的におなじ処理をしなければならないので、途中で前払費用を計上するような処理はできません。
この点だけ注意しておきましょう。
利益調整で、経費を減らそうとするケースもあるかと思いますのでね。
まとめ:前払費用の消費税は経費計上したときに認識しますよ
原則として、前払をした時点では消費税の課税仕入は計上しません。
費用計上したときに、つまり役務の提供をうけた時点で課税仕入を計上します。
ただし、前払費用には短期前払費用というものがあって、毎月おなじ金額の支払で、継続的におなじ処理をするのであれば、現金を払った時点で経費計上できました。
経費は早く認識したほうが節税になり有利なので、活用できると利用しましょう。