「確定申告が難しすぎて嫌になる…」
「どうすればいいの?」
上記のような疑問にお答えします。
確定申告が難しい理由は、日本の税金の仕組みがひじょうに複雑だから。
そして簿記の知識が前提にあって、一つのミスで申告内容、全体に影響を与えます。
だから難しいと感じる。
これを解決するなら、①税務署で確定申告する、②会計ソフトを使う、③税理士に外注するのいずれかがいいですよ。
売上規模別に解説しますね。
確定申告が難しすぎるときの対処法
確定申告が難しすぎると感じる人のために、売上別でどのような行動をすべきかまとめました。
- 売上100万円以下:税務署で申告書を作ってもらう
- 売上1,000万円以下:会計ソフトで確定申告書を作る
- 売上が1,000万円超:税理士に確定申告を依頼する
1、売上100万円以下:税務署で申告書を作ってもらう
ご存じなかった方も多いかもですが、税務署に行くと確定申告書を無料で作ってくれます。
なので確定申告時期になると領収書とかもったおじいさんたちが税務署にぞろぞろ集まるんですよね。
「無料で申告書を作ってくれるなら税務署に行けばいいじゃん」と思いがちなのですが、そうでもないです。
というのも、申告内容は税務署にとって有利になりやすいから。
税務署の仕事は納税者に適切に納税させることで、できるだけ多くの納税をしてもらったほうがいいです。
だから申告書の内容は税務署にとって有利になりやすい。
そこで私の意見ですが、売上がまだ小規模な方、たとえば100万円くらいだったら税務署で申告書を作ってもらったほうがいいと思います。
小規模だと節税もなにもないですからね。
納税なしになる人が多いですし。
でも助成金等もあわせて検討されている人は税理士に依頼したほうがいいです。
税務署は申告書は作ってくれても、助成金についてはなにもしてくれません。
確定申告をすることで助成金の対象になるのか、あわせて判定したいときは小規模とはいえ税理士にお金払って依頼したほうが有利だし安心ですよ。
実際、持続化給付金がらみで確定申告をしたいという相談は非常に多かったです。
2、売上1,000万円以下:会計ソフトで確定申告書を作る
売上が1,000万円以下なら会計ソフトで確定申告書を自力で作った方がいいですよ。
というのも、確定申告書を自分で作るという流れを経験することで、
- 毎月の収支を確認できる
- どうすれば節税になるか体感できる
からです。
税金は一生払い続けるので、人生の早い段階で知っておいたほうが損しない仕組みんなんですよ。
とくにある程度の規模になるとわかりますが、節税を考えないと手元にお金が残りません。
だから会計ソフトを使って確定申告を作ってみる体験がのちのち生きてきます。
たとえば税理士を雇ったときに、自分で数字を見る力があれば指摘できます。
「12月の売上は300万円のはずですが、どうなっていますか?」とかね。
税理士に「〇〇さんは試算表をチェックしている」と意識させれば、ミスが減ります。
ここだけの話し、税理士に依頼したとしても何かしらミスはありますよ。
※税理士はミスとは認めないと思いますが。
私の経験上、100%の精度で帳簿も申告書も作れません。
だから税理士に丸投げとかは危険です。
自分で申告書や帳簿を作る体験をへて、お金を手元に残せる力を養いましょう。
参照:会計ソフトの料金を比較!どれがもっとも安い?【1,000円/月】
3、売上が1,000万円超:税理士に確定申告を依頼する
売上が1,000万円超の方は税理士に確定申告を依頼したほうが、節税できるし、税務調査リスクも下がるし、ささっとめんどくさいタスクを終わらせれます。
ぶっちゃけ3,000万円くらいまでなら、自力で学べば確定申告できますが、それなりの勉強が必要なんですよ。
たとえば消費税の確定申告。
基準期間における課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生じます。
基準期間というのは、前々年度の課税期間のことで、個人事業主なら2020年分を申告するときの基準期間は2018年ですね。
すでにややこしいと思いますが、消費税の確定申告は非常にややこしいです。
決算書で当期純利益が赤字になったとしても、消費税の納税額が数百万円になることだって、ふつうにあるので資金繰りに影響をあたえやすい税金なんですよね。
それに複雑すぎて税理士もよくミスをします。
主な論点をまとめると、
- 税区分の判定
- 納税義務の判定
- 簡易課税の適用有無
- 仕入税額控除額の計算
まだまだ消費税の論点はたくさんあるんですよね。
さらに追討ちをかけると、消費税法は最近税制改正が頻発していて、より複雑になりました。10%に増税されたし、不動産還付スキームも防止されつつあり、インボイス制度という事業者が不利な制度も始まる予定です。
このように日本の税制は、富裕層から多く納税させるために、多くの罠を張っています。
これを対処しようとしたら、税理士を顧問につけるのが一番ラクだし、リスクも低いんです。
節税はやりすぎると、税務調査に入られて、追徴課税をもらいますからね。
このあたりのバランスも考えて、税理士をつけたほうが安心してお金を手元に残せるとおもいます。
さてここから、なぜ確定申告が難しすぎると感じるのか、話しを深堀したいと思います。
なぜ確定申告がこうも難しすぎるのか?
理由をまとめてみました。
- 1つのミスで決算書から申告書まで影響が出る
- 前提として簿記の知識が必要
1、1つのミスで決算書から申告書まで影響が出る
会計の仕事をしていて、つくづく実感します。
数字一つのミスを見つけるだけで、決算資料全体が修正されるんです。
だからミスをするとめんどください仕事なんですよね。
たとえば12月決算で、12月にいれるべき売上が漏れてしまったとします。
この影響で修正すべき書類は、
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 所得税の確定申告書
- 消費税の確定申告書
にまで広がります。
法人の場合だと、
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 事業概況説明書
- 勘定科目内訳明細書
- 法人税の確定申告書
- 消費税の確定申告書
を修正するはめになります。
さらに税金の話しで言えば、売上を追加でいれることで当然、利益は増えますし、税額も増える。
税額が増えたことによって、予定納税の対象になったり、特例の要件を満たさなくなって税金がより不利なることもある。
なんだか嫌になってきませんか?
確定申告の経験が浅い人だと、1週間後ごとに「新しい書類が出てきました」という状況になりやすいんですよね。
このように1つの修正だけで、複数の税務署類に影響を与えてしまうので難しく感じてしまうんです。
2、前提として簿記の知識が必要
じつは確定申告書の作成よりも帳簿の作成のほうがずっと大変ですし、時間をかけます。
目安でいうと、帳簿に95%、確定申告書に5%の時間をかけるイメージ。
帳簿が完成していると確定申告書はすぐに作れちゃうんです。
もちろん申告書を読み解くには税金の知識が必要です。
でも申告書の内容をレビューするだけなら、そんなに時間はかからないのですよ。
だから確定申告をする以前の話しとして、帳簿がきちんとできないと全然前に進みません。
そして帳簿を作るには簿記の知識が必要でして、これがまたややこしい。
確定申告の提出期限ギリギリになって、準備したって間に合わないのはこういった理由です。
簿記を知らないと確定申告は2段階で難しく感じると思います。
まとめ:確定申告が難しすぎるなら税務署、会計ソフト、税理士を頼ろう
確定申告が難しすぎると感じたときに取るべき行動はこちらでした。
- 売上100万円以下:税務署で申告書を作ってもらう
- 売上1,000万円以下:会計ソフトで確定申告書を作る
- 売上が1,000万円超:税理士に確定申告を依頼する
ほとんどの方が売上1,000万円以下だとおもうので、税務署行くか、会計ソフトで確定申告書を作りましょう。
税金は一生払い続けるので早いうちに計算方法を理解されたほうがいいですよ。
そのほうが人生が有利になりやすいですから。