「帳簿の摘要の書き方は?」
「経費になるの?」
上記のような疑問に、会計事務所歴6年のホスメモがお答えします。
帳簿の摘要に書くべきことは、「取引相手」と「取引内容」です。
じつは消費税法上、摘要に記載すべきことが指定されていまして、要件を満たしていないと仕入税額控除を認めないとされています…。
なので大手企業はきちっと摘要も記入してますね。
でも中小企業においてはそこまで厳格に対応できてないのが実情で、「取引相手」と「取引内容」が書かれていればOKです。
どこまで詳しく書けばいいのか解説しますね。
帳簿の摘要の書き方は?経費になるの?
きっちりした帳簿の摘要に書き方はこちらです。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
2/5 | 通信費 | 1,000 | 課税仕入れ10% | / | 現金 | 1,000 | – | freee 会計ソフト利用料 2月 |
上記の仕訳はfreeeの利用料を支払うときに計上しますよね。
それで摘要には「freee 会計ソフト利用料 2月」と書きました。
ここで必要な情報は「取引相手」と「取引内容」の2点です。
ではなぜ上記の2点を摘要に書くのか、その理由を解説します。
じつは消費税の経費に相当する仕入税額控除の要件に関係があります。
仕入税額控除の要件を満たすために摘要に詳細を書く
消費税法上では、帳簿と領収書がセットで保存されていないと、仕入税額控除が認められないとされています。
「仕入税額控除」とは消費税を計算する上での、経費ですね。
消費税の仕入税額控除を受けるためには、課税仕入れなどに関する帳簿及び請求書等を保存しなければなりません。
国税庁:請求書等の記載事項や発行のしかた
さらに帳簿に記載すべき内容も指定があります。
仕入税額控除の要件となる帳簿への記載事項は、次のとおりです。
- (1) 課税仕入れの場合
①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②課税仕入れを行った年月日
③課税仕入れに係る資産又は役務の内容(その課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
④課税仕入れに係る支払対価の額
(消費税額及び地方消費税額に相当する額を含みます。)国税庁:仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項
帳簿に記載すべき内容を4つ指定されていますが、仕訳を作るさいに、②日付と④金額は記載済みです。なので残りの①と③についてのみ、摘要に記入します。
それが最初に伝えた「取引相手」と「取引内容」です。
もう一度仕訳を見てみましょう。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
2/5 | 通信費 | 1,000 | 課税仕入れ10% | / | 現金 | 1,000 | – | freee 会計ソフト利用料 2月 |
4つの要件を満たしていますよね?
でもこれってあくまで消費税法上のはなし。
「所得税や法人税には関係ないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
実際、わたしが知る限り所得税法と法人税法に帳簿の記載方法について指定はありません。
しかしながら、消費税法との整合性をかんがみて法人税法でも同じ考え方を採用する、みたいな基本通達はよくあるのですよ。
以上を考えると、消費税法のルールに則って帳簿を記載し、管理したほうがリスクは低いです。
それに実際は、ほとんどの事業者は消費税法に則った帳簿を作成されています。
課税売上が1,000万円を超える事業者は消費税の納税義務を負いますから。
参照:消費税払う人の条件は?納税義務のフローチャートで確認しよう
摘要をきっちり書くのが難しい方へ
ただでさえ会計ソフトの入力が不慣れなのに、「摘要に書くことが多すぎ」と思われた方は「補助科目」を使いましょう。
補助科目というのは、勘定科目の1つ下の階層で科目を分類する方法です。
たとえば通信費の補助科目に「freee」を作ります。
それで仕訳を以下のようにする。
日付 | 借方 | 補助科目 | 借方金額 | / | 貸方 | 補助科目 | 貸方金額 | 摘要 |
2/5 | 通信費 | freee | 1,000 | / | 現金 | – | 1,000 | 会計ソフト利用料 2月 |
これで摘要に「freee」と書く手間が省けました。
もっとラクをするなら補助科目は「freee 会計ソフト利用料」としてもいいかもしれません。
このように取引ごとに補助科目を設定します。
でも「まだめんどくさそう…」と思う方は摘要に「freee」とだけ書くのもアリです。
最低限、取引先がわかれば領収書等をみて取引内容確認できますからね。
仕入税額控除に係る帳簿の要件は満たしていないですが。
ここだけの話、多くの会計事務所が作成する帳簿は、摘要に「取引先」しか書いてません。取引内容までは記載していないのがほとんど。
というのも、「日付」、「金額」、「勘定科目」、「取引先」がわかれば領収書と内容が一致しているか、確認できるから。
また実際税務調査でも指摘されないケースもあったり。
税法上は良くないですが実務上は「暗黙の了解」として、摘要に記載すべき事項が省かれてしまっています。
とはいえ税法で定められている以上、税法に則った形で帳簿は管理されたほうがいいと思いますよ。
会計ソフトで帳簿を作ろう
すでに導入されていると思いますが、帳簿の作成は会計ソフトで行いましょうね。
そのほうが集計ミスないし、効率的に作成できるし、助成金や融資の申請で試算表をささっと提出しやすいですから。
さらに会計ソフトで帳簿を作れば、節税にもつながります。
そう、青色申告の65万円控除です。
青色申告では複式簿記で帳簿を作成が要件です
まだ青色申告にしていない方、早く申請書を提出して白色申告から青色申告に切り替えてほうがいいですよ。
青色申告にすることで、
- 65万円控除
- 家族に給与支給
- 赤字の繰り越しが3年
- 純損失の繰り戻し還付
- 30万円以下の資産を一括経費に
などなど多くの恩恵を受けられます。
参照:青色申告の65万円控除の節税効果はいくら?検証してみました
参照:65万円も!ホステスの確定申告は青色申告で特別控除をうけよう
で、ここが重要ですが、青色申告の要件の一つに複式簿記で帳簿の管理があります。
「複式簿記って?」と思うかもですが、下記の仕訳が複式簿記です。
日付 | 借方 | 借方金額 | 税区分 | / | 貸方 | 貸方金額 | 税区分 | 摘要 |
2/5 | 通信費 | 1,000 | 課税仕入れ10% | / | 現金 | 1,000 | – | freee 会計ソフト利用料 2月 |
会計ソフトで入力をすると、自動で仕訳日記帳が作れるので、自動で複式簿記の帳簿をが出来上がります。
もちろんエクセルでも、複式簿記の帳簿作れます。
しかしながら関数にミスがあったり、数式を誤って変えてしまったりと余計なミスが絶えません。
正直に申し上げて、私は毎日会計ソフトを使う仕事をしているので、エクセルで帳簿を作ろうとしている人を白目で見がちです。
帳簿から確定申告書の作成までワンストップで行うなら、会計ソフトを選ぶべきです。
でも「お金がほんとにない」、「エクセルで帳簿を作りたい」という方はエクセルで複式簿記にトライしてみましょう。
どちらにせよ、複式簿記を取り入れて青色申告にしたほうがいいですよ。
早くに取り入れたほうが、長期にわたって節税効果を得られますから。
料金を比較して会計ソフトを選びたい方はこちらの記事をどうぞ。
参照:会計ソフトの料金を比較!どれがもっとも安い?【1,000円/月】
ホスメモでは帳簿の作り方から、確定申告の方法まですべて解説しています。
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それではまたどこかの記事でお会いしましょう!